
UNINTENDED VOICES.
= きくち ゆみこ = YUMIKO KIKUCHI
日本の大学を卒業してから、4年とちょっとロサンゼルスにいました。そこでは映画と文学のことばかり考えていました。言葉や文字、写真に映像、そしてちょっぴりの声と身体を使って何かを創りだすことが好きです。人の情動を刺激し、感情を喚起し、イメージを体全体で伝え、心を震わせること。そういうことを、いままでたくさんの人たちからもらってきたので、わたしもいつか与えられる側に立ちたい。それがわたしの思いです。
I am Yumi. I use words, images, videos, and a bit of my voices and body, hoping to create something imaginative to: evoke and stimulate, sway and stir people’s affectivity, emotion, and their whimsical souls.
Also → B L O G !
Message me :) →unintendedvoices@gmail.com
ZINES → 今までで3冊のZINEを作りました。
欲しい方は、上記アドレスまでご連絡ください。詳細をお知らせします。

こちらでも置いてもらっています:
ZINE’S MATE SHOP 2011 (Spring Quarter) @原宿VACANT
すべてほんとうに素敵なお店なので、是非のぞいてみてくださいね。

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「おとこの子になりたかった。」
いつもは俺というくせに、メールを送るときに、ボクといって自分を再演出したり、将来自らの時代を語るときには僕ら、と書いて他を引き入れ、珈琲の淹れかたに心を注いだり砕いたり、ワークシャツのしわを気にしたり得意にしたり、水泳で鍛えた身体を毎朝鏡のまえでじっと観る、髭を剃 る、伸ばす、触る、触らせる、女に。「タフになること」ということが頭から離れない、呪文のように繰り返す「タフになりたいタフになりたいタフに」俺は、 なぜなら俺はもう27歳の男だからだ、といって両腕に浮きでた血管を無造作にたどる、自分の血が時代を遡って脈々と流れているのを感じる、時の変遷に耳を 傾ける、父親のことを考える、煙草をふかしながら。ジャケットのポケットには文庫本、擦り切れて表紙が外れる、しおり紐が解れて解けて逆流する、使っていないのに、読みかけのページは、折る。ビートニクはすきだ、でもホイットマンやメルヴィルのほうが魂がより多く高鳴る気がする、大海に投げだされるような 狂気や高揚。佐々木中に嫉妬する。質素なアパートの一室に椅子を一つ、動物はいずれ、今は大きく古ぼけたスピーカーからLou ReedとTom Waits。The Beatlesなんて聽かない、Bob Dylanもいらない、Nirvanaなんて知らない、たまにJohn Lurieが居ればいい。彼のサックスの音色。独りだ。自炊は好きだ。食べるのが好きなのだ。食欲ならいくらでもある。性欲もある。欲望はいつも灰皿のな かにひっそり落ちている。知りたければ探ればいい、灰の合間に肺の合間に垣間見れる、夢?訳のわからぬままに女を抱く。たくさん抱く。その瞬間に皆を全て を愛するだけの気概が欲しいと思いながら願いながら抱く。
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というようなおとこの子になりたかった。そう思ったのは別に子どもの時分からではない。だって子どものわたしは、スポーツもできないし、元気もないし、恥ずかしがりだし、ひっこみだし、「おとこの子じゃなくて良かった。おとこの子だったら、ぜんぜんもてないし、女子にいじめられる。男子にもばかにされる、こ わい。でも良かった。わたしおんなの子だ」と思っていたから。それでも実際におんなの子だからって、大して良いことはなかったけれど。こういうついてな い、ひとりっこの女のわたし。という訳で、おとこの子になりたかったのは、つまり高校くらいから、小説やら映画やら音楽やらに深く傾倒しても「恥ずかしくない」と思えるようになってから。数少ないおとこの友だちと、親密なメッセージを交換するようにそれらを共有する、おとこの子、になりたかった。実際のわたしはおんなの子で、たいそうに興味深い独りのおんなの友だちと、そういったものを分かち合っていた。すごく好きだった。彼女は一体何処に居るのだろう。 さがそうと思えばさがせる筈なのに、わたしの手は動かない。おとこの子だったらどうなっていたのだろう、今のわれわれは。
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つまりわたしはお酒が飲みたいのだ、彼女と。わたしは、ボクは、おとこになり、彼女と今一度酒を飲み交わしたい。おとなになってから会ったのは数回、わたし はまだあまりお酒が飲めなかった。それでも2杯は美味しく飲んだ。それ以上飲む、ということをあまり思いつけなかった。バアで、レストランで、カフェで。 むかしむかし、飲み会では飲んで呑まれてしょっちゅう泣いた。なんて女子なんだ、と自己嫌悪した。
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たとえば簡単にSMSで呼びだされて居酒屋のカウンターにあっという間に座り込み心地良くビールを飲み交わす。ヤキトリの串が幾本も。誰も懸念しない、わた しが終電を逃すのを。誰も懸念しない、わたしが何杯も何杯もビールを飲み、日本酒を含み、「君たちと全く同じにする」ことに。おとこの子、おとこの子。おとこ。いくらでも話せるのは仕事のことよりも仕事を含んだ哲学の支柱、何本も頭のなかに立っている比喩的なファルス。それらを比べ競い合い最後には結合させるぐらいの濃密な会話。おとこは夢を見ない、夢を見るのではなく、ロマンに賭けるのだ、というのは本当だろうか。おんなの会話はいつもフィクションであり、おとこの会話は常に設計図であると。ロマンを多分に含んだドキュメント。実行可能で、即物的で、それでも永遠に更新し続けなくてはならないような、それ。
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おんなの子はどうして皆帰ってしまうのだろう、終いには。
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わたしはおとこの子になって、黒い大判のモレスキン(赤では決して無いのだ。)を広げ、独り黙々と書き付ける、記号としての言葉を。隣ではおんなの子が小さ なツバメノートを取りだし、赤のペンでハートマークを描いている。たくさん。ハートは記号ではなく、何かの象徴である。なんといっても彼女はおんなの子で あるのだから。おとこの子であるわたしの言葉は決して象徴に陥らず、かっちりとした記号のまま世界にメッセージを伝える。的確なターゲット、拾う人々、彼 らが見出すのだ、象徴を、そこに、それで初めて記号と象徴は紙幣の裏とオモテみたいに共同で価値を生みだす。
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厚切りのトースト、を目の前にしたおとこの子のわたし。珈琲は漆黒のままゆっくりと冷めている。温度が眼に見える気がする、煙草をふかしながらカップに触れる、震れる。トーストはバターを吸って柔らかな黄色に濡れている。
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エイハブ船長は言っている。「世界が纏っている仮面を突き破れ。ダンボールのマスクを剥ぎとるのだ。でもそこに、その裏に何も無かったら…」おとこのロマンは時として盲目的に、巨大な白鯨を偏在化させてしまうほどの狂気を生みだす。
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それではおんなにはロマンはないのか。ロマン的であるのと、ロマンティックであることは違うのか。ロマンティックな女子はうすピンクのドレスを纏いぬいぐるみの熊をあやすだなんて、やめて欲しい、誰が言った?おんなのロマンは性にないと誰が言った?ハートマークがフラれた枕にくちづけすることが、単なるロマ ンティックな妄想だと、誰が言った?本物の唇が欲しくないだんて、誰が、言った?
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銀のスプン一杯ぶんの性欲があり、皿には薄く切られた西瓜がたくさん盛られている。そんなとき、僕はどうすればいいのだろう。たとえば目の前に座っている君 の頬に手をやって、温かみを感じる。温かさのなかに花びら一枚の冷徹さを感じて魚のことを思いだす。魚はくすんだ青色で、君の目の上に載せられた色と重 なってぼくはすぐにぼんやりしてしまう。ぼんやりしているあなたが好きだ、と君は以前言ったのに、いま目の前にいる君はなんだか哀しげな顔をして怒りを内 にひた隠しにしている。そんなとき、おとこである僕は一体どうしたらいいんだ。
1. 西瓜を一口齧り、同じものを彼女にも薦める。
2. 西瓜には手をつけず、スプンも無視して、夕食を作りはじめる。
3. 彼女の手をとり、甲に唇を押しあてる。
4. 魚のことを考え続け、しまいには泳いでしまうだろう。この空間を、このたまらない時間を、とめどない欲望の大海を、彼女は泡になって溶ける、僕はその泡、 ひと粒ひと粒を含み、無音の無酸素の無機質な水のなかで永遠に生き延びるのだ。それが彼女の望んでいることなのか?おんなの考えていることは、全くと言っていいほど、想像不可能だ。
「ゆずる」
ひさしぶりに、いろんなことが頭のなか、というか基本的に心のなかを駆け巡っていて、やっぱりこうして文章に起こしてみないと、たとえどんなに人にしゃ べってみたとしても、うまく客観視できることはないんだなあ、と思うので、書いてみる。久しぶりの息苦しさを感じて、ちょっとびっくりしてしまった。
「言葉を大切にするひとならわかると思うんだけど」とそこまで書こうとして、タイプする指がとまる。「言葉を大切にするひと」なら「わかる」ということは、まず、この世の中には「言葉を大切にするひと」と「言葉を大切にしないひと」という2つの区分がとりあえず浮かび上がる。そして、前者にはそ の、「わかる」という特権が与えられている。それだけではなく、「思うんだけど」と前置きをすることで、書き手である「わたし」も、必然的にその「特権を 持っている」と提示していることになる。
こういうことが、いやだから、だからいま、考えるために文章を書こうとしているのに。
誰が決めるんだろう?「言葉を大切に」する/しない、の区分。いったい誰がそんな権利があって、「誰それは言葉を大切にしていない」もしくは、「誰それは言葉を大切にしているから良い」なんて言えるんだろうか。「言葉」に対して、「関心があること」が、「大切にしている」という定義になるのだろうか。「言葉」を「選んで」状況に合わせて使うひとが、「言葉を大切しているひと」なのだろうか。「言葉」について知識があることが?ソシュールやヤーコブソンといった「言語学者」に精通していることが?それとも、自身の感性を元に言葉を並べ、そこからイメージを創りだす、作家が?詩人が?
「わかる」ということ。「知識」という特権だけではなく、「感覚として」もしくは「事実として」受け止める、その「崇高さ」を持ち合わせている、という自負。そしてそれを「持つひと」という「わたし」と少数の仲間たちというグループ、反対にそれを「持たない」と、「想定される」ひとたちのグループ。他人が持ち合わせていないものと、自分が持ち合わせているものに、大きな意味を見いだすこと。そしてその意味は、決して良性のものにならない、という 矛盾を創りだす精神。仲間意識と排除する意識。プライドとスノビズム。「言葉を大切にしない」「あなたが」「書いた」「作品は」...「価値がない」。「言葉のことを」「何もわかっていない」「きみが」「書き綴る」「文章には」「意味がない」。
言葉についてだけではなく、いろんな分野にも応用される、この個人的特権意識。芸術分野でも、音楽の分野でも、経済の分野でも政治の分野でもどこでも。
「どこに」「誰が」「意味を」「価値を」見いだすのか。その価値は、意味は「お金」に還元されて初めて「存在」するのか。「商品」としての誇り。「作品」としてのおごり。社会に流通すること。魂が共鳴すること。両者が手と手を取り合う瞬間の魔法。
言葉を大切にするひとも、言葉を大切にしないひとも、いずれも言葉を使用するわたしたちみんなが、きっと思うだろうこと。言葉は、ひとを傷つけ る。傷ついたひとの言葉が、また誰かを傷つける。言葉はひとを励ます。励まされたひとの言葉がエネルギーを得る。「言葉は誰に対してもオープンである」という事実。「言葉の占有」は「知識の占有」に結びつくか、という疑問。「差異体系」としての言葉。「わたし」は「わたし」であり、「あなた」は「あなた」という差異。「言葉」が「世界」を「分節化」する。「誰かの言葉」によって、はじめてわたしの知らない「感情」が存在していることを知る。直接的に、間接 的に。わたしに向けられたものではない「言葉」によって切り取られた、「感情」がいま明白な形を持ってわたしに迫ってくる。それは恐怖だ。それは批判だ。それは葛藤でありそれは誘惑だ。「分節化」された感情を読み取るのはわたしだ。とても個人的なやり方で、わたしは恣意的にその生々しく切り取られた「言葉」を解釈する。
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「見知った感傷について」
今日、特別ものすごく胸を締めつけられるような思いをした。エスカレーターにのって、ゆっくり下へと連れて行かれている途中、目の前に大きな鏡があった。 そこにぽつんとした自分が映っているのが見える。新品のランニングシューズの靴ひもが蛍光ピンクいろなので、目のなかに痛んだ。肩がちょっと下がってい て、かみの毛はだらりとそのわきに垂れ下がっていた。なかでも目をひいたのは、その顔だった。日本にいるときにはいつも使っている、ブルジョワのピンクオ レンジいろのチークカラーのせいで、頬が上気して見える。あまりにも苦しくなったので、もう一度のぼりエスカレーターにて上へと戻る。そして再びくだりエ スカレーターへ。今度はiPhoneを取り出して、videoモードをONにする。胸のあたり(今では、なかの心臓がいったん出てきそうなほど鋭く強く脈 打っている)でそれを構えつつ、下へ向かう。鏡に映るわたしと、小さなスクリーンを覗きこみながら地面に舞い戻るわたし。片足が一度、ひだりからみぎへと 移動する、ステップを踏むみたいに。無事にエスカレーターから降りると、慌てて横のかべのあたりで一息つきながら、録画された自分をようやく確信をもって 見ることができる。再生ボタンに指を触れると、確かにわたしが胸にぐっとくるものを感じながら、下降する様子が見て取れる。顔が紅いのは、ブルジョワチー クのせいだけではなく、心のなかでボッとなにかが燃えているからだ。胸の真んなかで、燃えさかる小さな炎みたいなものは、ふっと顔を紅く染めて、一瞬のう ちに消えてしまう。だらんとした薄手のセーターに、だらんとしたかみの毛、内側から高揚する頬に、熱く柔らかいわたしの息。口元に手をやれば、その凍りつ いた指先もアッという間に溶けだしてしまう。わたしの脳と肺、ため息と指先、そういうものによってわたしは物を書くことができる。
今月号でBRUTUSは「せつない気持ち。」という特集を組んでいる。つい先ほど、本屋さんで立ち読みをした。秋はみな一様に同じ気持ちを抱くものなのかも しれない。わたしはこの号を買わないことにきめた。もうすでにシッカリとわたしのなかには「せつなさ」というものが、根を張るみたいに身体中に内在化して いて、たとえばそこで紹介されている「せつないアニメや映画や本」といったものは、実際あまり意味をなさない。内部に張りついたせつなさがあれば、わたし はなにを見ても、なにを読んでも「せつない気持ち」を感じることができる。わたしの精神の敏感な糸やひもみたいなものは、しっかりこういった情感に縛りつ けられていて、ちょっとでもたぐり寄せれば、心がじわじわ熱くなってしまう。家族での温泉旅行中、ちょうどこの”sentimental”な気持ちについ て考えたい、と思っていた。だから夏に森美術館のミュージアムショップで買った、Moleskineの真っ赤でコンパクトなメモ帳(モリミュージアム仕様 なのでよけい可愛い)に「感傷について考える」と書きつけていたのだった。ママの運転する車で、熱海にあるMOA美術館に向かう途中、オデッセイの一番後 ろの席で、1人窓の外をみながらぼんやりしていたときのこと。一番前にはママとパパ、二列目にはオジイチャンとオバアチャン、そして一番後ろには様々な旅 行鞄(6人分だ)と一緒にわたしが積まれていた。これはわたしの「一人っ子ポジション」であり、きっと今のようなわたしが造られたのも、こうしたことの積 み重ねなのではないかと思う。流れいく風景を見ながら、音楽を聴いて、ただただ場所から場所へと移動させられる瞬間というものを、わたしは小さいころから 溺愛している。27を目の前にしても、このような振る舞いが許されてしまうというのは、哀しい奇跡としか言いようがない。
熱海駅 周辺の商店街を通り過ぎているとき、この感傷はすっかり顔をだしはじめた。Bonjour Tristesse なしからぬ、Boujour Sentimentといった感じだった。「ものうさと甘さがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、わ たしは迷う」(もちろん朝吹登水子さん訳)とサガンは処女作の冒頭で書いていたけれど、わたしはこう書き換えるかもしれない: 「ものうさと甘さがつきまとっては消えていくこの見知った感情に、感傷という重々しい、りっぱな名をつけようか、わたしは迷う」。この「見知らぬ」と「見 知った」という言葉の違いは、わたしにとってはとても大きいし重要なことのように思える。わたしの場合、感傷という気持ちはすべて経験のなか、つまり過去 のものごとにおいてのみ湧き上がることができると思うから。未来について、わたしは「せつなさ」をもたない。未来は常に変更可能(もしくは避けて通ること ができる、ということ)で、わたしが思う限りにおいて、それはわくわくする事柄に溢れているか、どきどきする不安に囲まれているかどちらかで、こういった 「ものうい甘い」気持ちを抱くことはきっとない。甘い気持ちは、すでに知っている人たちのためにだけ、とっておきたいと思う。わたしは過去の悲しみも間違 いも憎しみも、すべてこの甘さのなかに包みこんで、どうせなら胸焼けを起こしてしまったらいい、と思う。だから時折わたしは吐くのだ。突拍子も無く、突然 吐く。あまりにも胸が焼けて胃も心臓もひっくりかえってしまったときには。
熱海の商店街を見ながらわたしが発見したのは、「見 知った」感傷という定義が、自らの経験に基づくだけではないのだ、という真実みたいなものだった。わたしはその商店街を目にしたとたん、「モーターサイク ル・ダイアリーズ」のある一部分を思い出した。映画のシーンも、ゲバラが書いた日記の文章も同時に。若き日のエルネストがバルパライソで恋人の手紙を待っ ている。ナレーションでゲバラはチリの詩人、パブロ・ネルーダを引用していた。人と建物で窮屈そうに見える、坂道だらけの町。ケーブルカーが上下に走る港 町。エルネストは恋人からの別れの手紙をもらい、肩を落とす。それでも旅への意欲は一向に消えず、それどころか失うものをなくした者の晴れやかさをのぞか せながら、海を眺めている。熱海の商店街には温泉まんじゅうの屋台が出ていて、そこから白っぽい湯気が立ち上っている。車のなかにいるわたしの目の前で、 一瞬にして消えてなくなってしまう、魅惑的な蒸気と甘い匂い。詩人が愛した港町。ケーブルカーは大きな音をたてて、下へと降りていく。エスカレーターに よって下へと運び去られる紅い顔のわたし。恋人のいない自由さと、好きな人がいるという幸福と、そして好きな人に好かれているという小さな革命的自信に よって、高揚し頬が輝いている。わたしの吐息と、屋台から立ち上る蒸気がゆっくりとまじり合う。凍える手のひらをかざす、柔らかい茶色の皮に唇がふれる。 豊穣の女神が息を吹き込むみたいに、その蒸気はわたしの肺にどんどん入り込み、「感傷」で胸をいっぱいにしてしまう。
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経験は体験でなくてもいい、他者の想いが共通の意識になって、開かれた精神に積み重なった結果、突然発露する。
この先わたしは耐えなくてはいけない。この身体のなかに入り込み、蓄積されては発散される、秘密めいた息のようなものに。
ここにいる限り、どんどん増えて膨らんでいく感傷。
青ざめた唇をすっとゆるめると、そこから少しずつ流れだす感傷。
こうして人は、自らを豊穣の女神に変えていくことで、どうにか生きながらえるのだと思う。
秋の感傷は、野生のきのこよりも、通りの金木犀よりも、濃く、苦しく、香る。
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「ランブリングス」
電車が地下鉄のホームに入ってくる瞬間、わたしは眼を閉じる。ちょっとした揺れを感じて深い呼吸を一つ腹の底に落として、ポケットの財布を探り握りしめる。【死者から眺めている人生】茶色のタイルが三個続きで街の色を変える。「いま何処にいるの、そこらをうろうろしていないの、しているなら僕と遊ぼう」【養育者が見守ることで独り遊びができるようになったのちに、養育者を内在化することで本当に独りになることができる】(村上靖彦「ユリイカ」平成23年1月号)昨日、夕方と夜の中間で、わたしが見たものは、葉っぱの隙間から覗く月。わたしはうろうろしているので彼らと遊ぶ、虚の時間を利用して、その空間が無効になるまでわたしは戯れる、花のようにしな垂れながら歌い、川べりを歩いたりティーカップを支えたり言葉を突きだしたりする。【しかしジュネによると、独りで歌を口ずさむ私たちにとって歌はその機能を半ば変質している。歌はコミュニケーションとしての言語から離脱する。歌は存在することが許されない現実を結晶化する技術、二人になることを純化した果てに独りになる技術、あるいは孤独のなかで不在の誰かとつながる技術、感情を打ち消して美へを変換する技術、このようにしてようやく生者と死者がつながる技術なのである。そしてその作動の痕跡がノスタルジーという気分である】(村上靖彦「ユリイカ」平成23年1月号)わたしは死者ではないので、危なっかしい塀に持たれながら、太陽の光がまるく、指輪になってわたしの指に落ちていくのを見守っている。わたしには指輪が一つしか無いので、わたし自身の神様めいたものが天上のものを利用してほかに創ってくれた。わたしの指先はそういった優しさのおかげでキーボードを打つことができる。冷たい、と感じるのはわたしの身体ではなく冷蔵庫の切られたキウイみたいな精神、状態、精神の具合はテーブルの上にこぼれたジャムを舌先で掬うように少しずつ、少しずつ、綺麗になっていく。フィルム、一本二本、三本四本、見つめる。写真96枚分の待ち時間。一枚一枚の顔を、床一杯に広げてわたしは空想する、あれがどうでこれがそうで、縺れる糸の先、付箋が剥がれおちていく、壁に爪をたてる。
できることとできないことがあるのはとても良い。ぜんぶやれたらやってしまうかもしれないけれど、わたしはやれないのでやらない。いけないのでいかない。いけるところまでいく、という人たちは、けっきょくいけるところまでしかいけないし、いかないので、わたしが道順をたずねたときにはすでに混乱していた。深い羊歯の生い茂るなかを一歩一歩踏みしめるように、頬に切り傷をつくりながら分け入っていく鼓動はうす赤い柘榴の色。わたしは参加する、知らない人の乱れた帯先を掴んで着いて行く、恐怖はない、人が怖い思いをするのは大抵その怖さの原因を知っているからで、上手い具合に感情を消去した(ジュネの「愛」を使用して)わたしは目を瞑っていても歩みを進めることができる。斥力の無いところには反骨は無い。わたしは誰にも敵対していない…
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「木が裸だった」
イーメイルに連絡があって、君がフリーウェイを歩いていて捕まった、と聞いた。君は、かつてわたしのものだった白いジープチェロキーで405をくだり、サンディエゴを越し、国境へ来た。君はハンドルを握りながら、空けっぱなしの窓から埃っぽい風を受けて、涙を流していた。君は大きな瞳をもっているから、涙があふれたそれは、あまりにもきらきらしすぎて対向車の肝を冷やしたかもしれない。君は怒り、泣いていた。君のカールした長めの黒髪はいつものようにかさついて、肌は相変わらず浅黒く、照りつける太陽のした運転するのがよく似合った。そんな君に、君のすきなハーゲンダッツ・グリーンティをあげたくなる。のどが渇いていたでしょう?わたしはそういった国境を見たことがないから、車を出たあとの君の行動は測りかねるけれど、君はとにかく、キーをポケットに突っこんで、5ドル札を一枚胸ポケットにいれると、車を離れてフリーウェイを歩くに至った。つまりそれは犯罪だ。自傷行為で他人にとがめられるなんて、ひどく残念で哀しいし、それでいて君にあまりにぴったりなので、実際わたしは首をうなだれてしまった。その時の太陽なんて想像したくもないし、まして君の顔を見るのは辛い、たとえ頭のなかの映像だとしても。今わたしは、冷たい指でパソコンに向かって、君にとっては異国の大地で、平凡なビルディングの一室で、君を想う。好意的にではなく、敵意を持ってでもなく、素直に君を想う。悪かった、と思う。悪くなくても、わたしが悪かった。誰も、フリーウェイを手ぶらで歩いてしまうほどの哀しみを持つべきではないし、誰も、他人の顔を埃と涙で覆わせてしまうほどの痛みを与えてはならない。わたしには想像することしかできない。君はすっかり良くなった。水を飲んで、迎えがきて、熱を測られて、広いアパートメントの一室、二人のおんなの子、わたしのアパートメント、過去の手紙、風呂場での幸せの一時、を君は得たらしい、どうやら。簡単に君は絶頂を迎えてしまう、最高の類の絶望のなかで。わたしには味わうことができない、崩壊をわたし自身が贈与できるなんて思ってもみなかった。あの時、keysと5 bucksの他に、君はオレンジ色のノートブックを持っていたという。オレンジは本革で、あのブランドのやつだ。そういう出来事の一回目、まだわたしがあちらにいたころ、帰って来た君が初めに携えていたやつ。そういうものにしか、心の平安を見出せなかった君は、その高級な革の匂いに染まった上質な紙のうえに、たくさんの文字を書きつけていた。君だってすきだった、書くことが。もしくは、わたし以上に、頼っていた、書くこと、に。君の文字はいつも隣同士がつながっていて、縦に長く、青いペンで、丁寧に綴られていた震えた希望だった。あまりにも哀しい、動物のような文字だった。リトル東京にいくと、いつも少しだけ駐車するのに戸惑って、たった8ドルですら惜しんだり、壁のグラフィティを撮影するためだけにクォーターコインをポケットから探ったり、mochi icecreams はわたしがいつも4個買って君にふたつをあげた。水の張っていない噴水の陰に腰かけて脳みそを凍らせながら食べた。わたしの不満はいつもその直後にやってきて、こんな偽ものの場所からはやく撤退したい、こんなの故郷じゃない、なんの哀愁も感じない、といって君の腕を無理やりひっぱって君を怒鳴らせた。煙草に火をつける指を憎悪したし、110ではいつも事故を予感した。ダウンタウンはすきではなかった。色がよくないと思っていた。結局、わたしはとくになにもすきではなかった。とろみのついた坦々麺だけが、わたしの支柱だった。それなのに、君はなぜだか、いつもわたしの周りに居て、わたしを随分困らせたり安心させたりしたのだった。Bare trees and I climbed high to hide, and nothing was really hiding me because they were all naked. That was what happened all there.
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「集合的な記憶について」
今日はうまく魔法がはたらかない。もうじき結婚する親友をみていて、最近ますます思ったこと、つまり日々における単純な魔法の必要性。品川駅構内をひとり 歩き回っていても、その魔法が今日はウマく感じられない(品川駅構内は、魔法に浸るのに最適な込み具合と最適な広さを持っている)。2往復目になって諦めて、覚悟を決めて小さな本屋さんのある階にあがる。雑誌コーナーに目をやると、そこには「真夜中」の 最新号がおいてある。このあいだバックナンバーをインターネットで大量に購入したので、もしかしたらそれも買っていたかもしれない。思い出せない。それで も予期せぬできごとに、あまりにも嬉しくなって、買う。最近この「真夜中」に頼りすぎている。やたらめったら文章で埋められている、素晴らしい雑誌。過剰さのないおしゃれさ。ああ、おしゃれ、なんていう言葉は第いち好きではないんだ。カタカナにするとなお悪い。漢字で書くならまあ良し。面白い文、面白くない文、知的で男らしい文にに性的モチーフになぜか溢れている文、等 々あるけれど、全部は読まない。世の中は、幸い、読み物で満ちているので、その結果じぶんにぴったりのものを選ばないと、携帯ニュースだけ読んで人生おわることになりかねない。
【言葉は真夜中の星、写真は光、絵はともしび、デザインは夢】と、「真夜中」は言っている。これからもこの雑誌に頼るのはまちがいない。
昨日は夜からパパの事務所に行って泊り込みで手作り雑誌に時間をつかった。節約をするために、おばあちゃんちに届けられるお年寄り専用のおベントのひとつをもらっておいた。栄養バランスの良い食事。チンして食べる。テレビもつけてみる。たけしと誰かが繰り広げる政治の番組。円高にうきうきしすぎてコスコで大量買いする中年の女性が映っている。コスコ、懐かしい。とほろりとくる。LAを離れてまだ2ヶ月くらいしかたっていないけれど。ああ、今、この 場所からは、近未来的なつくりの窓ガラス越しに、2つのホテルビルの巨体が見える。夕暮れ空にいち早く、上品なネオンライトを放っている。品川駅構内のス ターバックスは基本的に変だ。席はいつもみつからない。そのため数分並んで待つと、店員が案内してくれる席につくシステムになっている。階下には、新幹線 のりばがあるから、英語だって聞こえてくる。アナウンスだ。こうして文章を書いていると、知らない国の空港ラウンジにいるのかもしれないわたし、と首をか しげたくなる。現に、目の前に座っているカップルは、広東語でお話ししている。わたしと(おそらく)おなじ、アメリカーノをすすりながら。
日本はどこにあるのだろう?魔法の効き目が弱い夜は、質問も半ば漠然とする。「真夜中」を買ったあと、つかの間の雑誌的高揚に身を任せ、足取り軽く、もう一度東のほうへ向かう。ここはニューヨークなのか。本当に日本はどこにあるのだろう?サックスの音まで聴こえてくるのが、なんとも危険だ。ティッ シュ配りのお姉さんを無視するサラリーマンのおじさま。日本人と非日本人、人間と非人間、人間失格、という言葉同然脳みそだけで動く、魔法が消えたあとの わたし。もうひとつの書店は、さっきのより大きいのに、人を不安にさせるあの蛍光灯過剰のせいで、とにかく良くない。文芸誌コーナーに直行するのは、焦っているせいからなのか、と思う。節約は面白い。わたしに、「ダ・ヴィンチ」を買わせる。この焦りのくったくない干渉!
往復はついに4度目に達する。天上のスターバックス。聖水で薄められたコーフィ。書店のお姉さんに「袋いらないですよ」と言う。眼鏡越しにゆるむお姉さんの微笑みに、たちどころに恋をしてしまう。眼鏡越しのわたしの恋。眼鏡の奥、二対の瞳の衝突。
魔法の消えた夜は英語の消えた夜。魔法の消えた夜は、濃い日本語の夜。魔法の消えた夜は、いい子のわたしが存在し続け、だめな人間のわたしが未来を迎えることを知る夜。
【今、起こっていること】
突然わたしの目の前に座っている人が、わたしの後ろに座っている人と、手話で会話をし始める。すると、斜め横に立っていた人もその無言の会話に参 加し、わたしの周りでは、小さな手のダンスが開始される。発せられない言葉の嵐のまっただなかで、わたしは薄いコーフィをすする。熱くて苦いものが、胃の なかに広がる。虚空に吸い込まれるような、音のない思いの渦にまかれる。
今日はアニマルコレクティヴを聴いて帰ろう。きっとそうしよう。
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“Note to self #2.”
Like a sudden gust, this abrupt feeling comes into my body, with this nonchalance.
It remains inside of me, and never ceases to be dancing in me, as a drift of dust in the corner of school backyard.
I shiver.
I shiver, and then I surrender myself to despair.
My head decides to be steamy, then, I am so moved to tears.
That is the end: I would cry watching whatever comes into my sight.
It is a blissful grudge internalized in my body.
This surpasses feelings: I turn into an automaton, become the object.
I lose myself at the same time as I retrieve myself.
Neglecting all the surroundings, I transform into a pure soul.
I wonder since when I notice the existence of this pure soul of mine.
Cogito ceases to have its meaning anymore; the more I think, the less I exist.
I soaked myself into the deep water, I was fearful, I was forced.
I didn’t have any type of choices back then.
The moment before I jumped into the pool, I pushed oxygen into my lungs, as much as I could.
With a pair of lungs filled with bravery, I fell.
Falling into the candy blue water of the abyss, I became merely a soul.
I am allowed and forgiven to be a pure soul; become a escapee of existence.
If I had seen my love at the moment, I would have swum up to him,
I would have caressed him without hesitation, without any halt,
I would have thrust my hands into his tangled hair, drawing his face near to me.
Because I know there is no difference in the water and the dream: I am as bold as the divine.
Whizzzz, the whistle.
Children pop up to the surface.
With a drowsy look, they come back to the world of their oyster.
I stand still on the pool side, holding my breath, alone.
It is always me, that happens to remain in the dream.
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“HE CALL IT A COLLECTIVE MEMORY”
magic is not working today. what i thought about recently when i was seeing my best friend (who is getting married pretty soon): the need of a simple magic in life. walking around the shinagawa station and yet no sigh of the magical effect (shinagawa has such a perfect size of crowd and space to be soaked in a magic). after the second roundtrip, i gave up on searching for this necessary magic, then i went up to a little bookstore inside the station. i don’t really like this books store; it’s too small, and sandwiched by two zakka shops, books are displayed as if they were “merchandizes.” besides, the business section (though it’s given the largest space of the store) are always cluttered with business men in their stiff suits, and i could easily get suffocated with the thinned air around there. i glanced at the magazine section to find “mayonaka” magazine. and yes it was there. i bought a bunch of back issues of the magazine the other day, and i might have the one already. i couldn’t remember. yet my delight was strong, so i bought one. i am too obsessed over this magazine lately. filled so much with texts, this wonderful magazine seems to have a different designer each issue, so it gives me an intoxicating feeling just to look at it. fashionable but not excess. ah, i don’t like the word “fashionable” anyways. much worse in katakana. acceptable in kanji, though. interesting/uninteresting columns, essays full of intelligence and manliness, and somewhat sexual verses filled with sexual words; so many to read, but not everything to read. this world, i should say fortunately, is filled with texts, words, things to read, and so if you don’t know and don’t choose what is suitable for you, you might end your life reading only news feed from your small screened cellphones. [words are the midnight stars, photographs are the lights, paintings are the flames and design is a dream.] says “mayonaka.” i would totally depend on this magazine for a while.
last night i went to my dad’s office and stayed there for a night to start creating my “zine.” to cut down my spending, i asked my mom to give me a bento box for old people that is delivered to my grandma’s house. well balanced dinner in a box. i microwaved it and ate it. i opened tv. takeshi and his people were talking about politics. i saw a middle aged lady who (excitedly) makes frequent trips to costco, receiving benefits from high yen value. costco, how i miss thee. i cried in my soul. maybe. i only left la 2 months ago. ah, now what i see from these futuristic windows are the two high hotel buildings. they are casting elegant lights in the dusk of tokyo. starbucks at shinagawa station is definitely strange; we can never spot a seat, and therefore, we have to line up until the shop person finally lead us to the seat. there’s shinkansen gate in downstairs, so we can hear english announcement leaking from the speakers below. writing this here, in this situation, i fee like tilting my head in confusion thinking that i might be in some airport lounge of some mysterious country. in fact, a couple behind me is chatting in very fluent (well i guess) cantonese. maybe sipping the same americano that i got.
where is japan? the night like this without magical effect brings me a half vague question like this. went along with this sense of exaltation of “buying magazine” brought by “mayonaka” i lightly treaded toward east once again. is this new york here? where is japan, really? the melody of the sax playing enhanced the danger. a middle aged salary man ignored a girl handing out a packet of kleenex. japanese and non-japanese, human and non-human, and “ningen-shikkaku” (no longer human) kind of me moving around only with a brain. another book store is bigger than the other one, yet none the less worse for its excessive use of fluorescent lights that unsettle people’s soul. i headed directly to the literary magazine section, maybe, out of fret. saving money is interesting; it made me buy “da vinci.” alas! this gay intervention of impatience in me!
4th round trip already. supernal starbucks at the station. a cup of coffee mixed with sacred water. i said to the book store girl, “i don’t need bag, thank you.” i fell for her instantly when her smile crept thorough her glasses. my romance behind the glasses. two sets of glasses and two sets of eyes, they clashed.
the night without the magic is the night without english. the night without the magic is the night of dense japanese. the night without the magic is the night that i know of myself as a good girl would exist forever while yumi as a failure might welcome the future.
[what is happening now]
all of sudden, a man in front of me started chatting with a girl sitting behind me in sign language. soon a boy standing right by me joined the voiceless conversation, and now they started to unfurl the little dance of hands around my table, circling my existence. i sip this washy coffee bang in the middle of the storm of unuttered words. something hot and something bitter pervade my stomach, at a crawl. i am vacuumed in to the void. i am buffeted by the swirl of these silent emotions.
i shall listen to the animal collective on the way home today. and sure i shall.
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“OH IT’S SO FAMILIAR!”
I had this sweet yet heart-wrenching feeling today. I was on an escalator, while I was taken downward, I saw a huge mirror in front of me. I spotted myself in there, with the air of strong solitude. The hot-pinkness of the shoe strings on my brand-new running shoes hurt my eyes. Shoulders hanging loosely, and my scruffy long hair draping over them. What drew my eyes, though, were the face of mine. It seemed to be slightly flushed with “Bourjois’ cheek color”, which I always use while I’m staying in Japan. It was too painful, and so I rushed on to the escalator and went back up again. Then again, hopped on to the descending escalator. This time, I took out my iPhone from the purse and activated the video mode. I hold it around my chest (which was beating harder and sharper than ever, as if it was popping out for once), then again I was descending. Me in the mirror and the me looking into the small screen, flying back on the earth. One foot moved from left to right, as if I was tapdancing. When I finally reached on the ground, I stepped aside and confirmed myself recorded in a small screen, feeling relieved. When I touched the play button, I saw myself descending, with something uplifting or maybe queasy within my chests, which was hard to tell. My face was red and flushed, not just because of that Bourjois blush, but rather, something was burning hard within my heart. That something, the tiny flame burning bright in the middle of my chests, flushed my face red, then deceased for a beat. Baggy thin sweater and the loosened hair, flushing face and my warm-soft breath. If I bring my frozen fingers toward my mouth, they will melt in two shakes. My brain and my lungs, my suspirations and fingers, these are the crucial things that drive me to write.
In this month issue, BRUTUS is featuring on “Sentimental feeling.” I was reading it in a bookstore minutes before. I guess everyone has a same sentiment in the season of Fall. I decided not to buy it. This “sentimental feeling” is already inhibited within me, like roots laid down unconsciously, and the things introduced in the issue, like “recommended animations, movies, books that evoke your sentiment” don’t really work with me. For I can feel this sentiment whenever I want, and whatever I see makes me feel the sentiment, for it is inherited within me. The strings or threads of my mind are all attached with this affectivity, and once you tuck them down, my heart would melt, so easily. On the hot-spring trip that I was in with my family, I was thinking about “thinking about the sentimental feeling.” And so I was writing down, as: “Think about this sentiment” on my tiny scarlet Moleskine notebook that I bought at the Mori Museum gift shop this summer (and it’s prettier because it’s Mori Museum original!). My mom was driving, and we were heading to MOA museum art in Atami; I was sitting on the third row of our Odyssey, looking through the window, listening to music, blank minded. There were mom and dad at the first raw of the car, then my granny and grandpa at the second, and there I was in the third row, stuck in the middle of travel luggage (6 people amount of luggage). This is my “position as an only child”, and I think that was how I was made of. The moments of watching the scenery passing by with such a nonchalance, with music playing in my brain, taken to places to places, without my will, and this is the beloved moment of mine, my precious. It is a painful miracle that I am still allowed to have such a moment and behavior though I am becoming 27 so soon.
While we were driving by the little commercial avenue around Atami station, this sentimental feeling showed up in a clap. That was this “Bonjour Sentiment” moment, if not “Bonjour Tristesse.” Ok. “A strange melancholy pervades me to which I hesitate to give the grave and beautiful name of sadness…”, Sagan starts her first novel with the line. But I might re-write it as this: “A familiar melancholy pervades me to which I hesitate to give the grave yet beautiful name of sentiment.” The difference between “strange” and “familiar” has, I guess, an importance in my view. “Sentimental feeling” can only be felt in the moment of experience, and thus, in the past. In future, I never feel this sweet-melancholic sentiment. Future is a flexible thing (and in that I mean you can always avoid “things”), and what I think is that future is only filled with these exciting things that make your heart beat faster, or maybe it will be so because you are surrounded by these uneasy anxious. This, melancholy, and this sweet but languid feeling should be kept for those who I’ve known already. I hope I can contain these sadness and wrongness and hatred and misery within this sweet melancholy, and I’d rather suffer this heartburn with the sticky sweetness. And that’s why I throw up. I puke, just like that. If my heart is that burnt and sick and when my stomach and heart are inside out. Just like that.
What I discovered when we ware passing by the shopping street in Atami was a kind of seemed-to-be-truth, that this “familiar” sentiment doesn’t have to be based on one’s experience. When I saw the street, it instantly reminded me some parts of “Motorcycle Diaries”, both the movie and the book written by El Che himself. Young Ernesto is in Valparaiso, Chile, waiting a letter from his lover in Argentine. The narrator, Guevara himself is quoting the Chilean poet Pablo Neruda, when they enter the city. The city of steeps and narrow paths, crowded with people and buildings. A porttown of cable car going up and down all over the place. He receives a letter saying good-bye from his girlfriend, and he droops his shoulders in despair. However, his motivation for the journey is still undescended, and his face is somewhat beaming with the sentiment of those who has lost what is to be lost, as he gazes the ocean before him. The venders are selling steamed buns on the corner of the streets in Atami, and they’re giving a whitish steam from carts everywhere. The sweet steamy smell of buns, which instantly disappears in front of me in the car, moving. The porttown loved by a poet. A cable car is descending with noise. And I am descended with this red-flushed cheek on the escalator in the mall. My face is glowing out of the freedom of lover-less state, and out of the happiness of having someone in my mind, and out of the revolutionary confident that someone in my mind loves me, and so I am glowing. My breath slowly merging with the steams coming out from the venders in Atami streets. I thrust my hands over it and the lips touch the browny skin of the steamy bun. The goddess of fertility is inspiring me; the steam coming inside of my lungs and they fill me with their sentiment.
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Experience doesn’t have to be an “experience”; the feelings of others become shared consciousness, and when they piled up in an opened mind, they effuse all so naturally.
I must endure this, for good. This, mysterious breath kind of thing, which comes into my body, is deposited for long, then radiated at once.
As long as I am here, this sentiment balloons and grows infinitely.
When I loosen my paled lips, it slowly slips out from them, and so this sentiment.
That’s how we survive: making ourselves in to a goddess of fertility, struggling to inspire people around.
This sentiment in Fall, more than wild mushrooms and more than orange osmanthus on the streets, smells deeper, sterner, and sweeter ever.
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“PRETTY LIKE A HUMAN”
I opened a box of granola, and teared the plastic bag to pour the flakes into a bowl. I heard the dry sound of them hitting the bottom of the bowl, for about 5 seconds. The ceremonial attitude to my breakfast. Cold touch of a spoon on my tongue, knocking front teeth slightly with its hard tip, cutcutcutcutcutcut…
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I abhor the word “Joshi” (girl-child, in word to word translation, but rather an overall label for women who still believe and refer themselves as girls). “Joshi-ryoku” (girls’ power), “Joshi-kai” (girls’ party), “Joshi-nomi” (girls’ drinking night), etc… These are one of the keywords-of-the-year in 2010. I started to notice hearing these words everywhere since I came back to Japan this summer, and since then, I found that many fashion magazines promoting and recommending hairstyles and make-ups to boost up your Joshi-ryoku, or some informational magazines introducing great restaurants and bars to hold Joshi-kai or Joshi-nomi. Years ago, these magazines were featuring the topics like “How to get girls (guys) in the bars” or “Best restaurants to hold Go-kon (mixier); we were so hungry about love, romance, and passionate (though may not enough from Western point of view) about finding partners. But what the hell is going on in my country? Seems like men and women are already giving up understanding each other, while women are hanging out and teaming up to talk shit that how men are helpless and unreliable in this economic situation, and guys are even happily accepting to be called as “Soshokukei-danshi (grass-eating boys), or Otomen (girlishly dreamy and shy boys) and all. Where are my women and men who enjoy the tactics for a new romance? Where are my people who get thrills from the romantic and sensual tension between men and women? Or, were we like that from long before?
I just got to know, on the dinner table with my parents, when we were talking about homosexuality, that people in Edo era not only men enjoyed sodomy, but also women practiced some kind of lesbianism, and even lapped up some “Shunga” (pornographic paintings). So the Edo women were more appreciated their sexuality rather than were exploited, compared to women in Japan nowadays. Of course, I cannot really say that Edo people were more passionate than us today, yet I think it’s clear when we see these women’s confident and sensual faces in Shunga, that women at the time would have understood their sexuality as a tool to both entertain men and express their inner strength as female, especially when they’re compared to those naive and childish looking bikini/maid girls in soft-pornographic pictures preferred by nerdy-unconfident men in today’s Japan.
Writing these might make you think that I am a feminist woman, however I’d consider myself as a typical dependent woman who is just afraid of being in the world of girl-power. And it is really funny to remember that I used to be an androphobia until I graduated high school. It was not that I hate men, it was rather I was scared of men, because I was interested in them too much but never got interested in return. I didn’t know how to deal with them, even how to talk with them, the topics and the ideas and even the tones of voices they had were beyond my tolerance. I’ve been so aware of the difference between men and women, and thought I had yet to have a language to communicate with them. Surely, in return, boys at times thought it was hard to approach Miss Yumi, who was so a self-consious shy girl, who would skip classes out of fear of meeting people, who would rather read books in the corner of a class room, only sometimes took up courage to join some group, for she was so afraid of feeling left out and being a real wallflower, incidentally, acting awkward out of nervousness of being in a group. I was eager to understand people, eager to get close to them, and this eagerness was too overwhelming for other teenage students and never to be understood. I tried to go inside of people, grasp the core of their nature, yet, as you may know, these teenage people were just old enough to build up their outward container as a body, and not yet to have their inward contents, their souls, which I was desperate to look for.
So now we are all grown up, no longer boys and girls; we are very much adults; men and women. I am so proud of ourselves. As a woman, I want to depend on men. There are so many things I cannot do in this world, because I have a body of woman, a brain of woman, and a soul of woman. My body is totally connected to my soul, and on the whole, these make up myself as a woman creature. Carry me when I am wounded. I cannot carry you because you are heavier than me. Your muscle is stronger than mine. Your brain is sharper and more logical than mine. So read a map for me and tour me around the city. You are much more focused, and calmer though you are mad, so please grip a wheel and take me to the desert with this pretty vehicle called a car. Instead, my female nerves can serve you nicely; I can brew you a good green tea, can cook you a healthy meal, and touch you most tenderly, scratch your back to your heart content, after our love making, when your manly brain draws you to sleep, while my female body is awakened by your sting, mind suddenly cleared out, the combination of awakening and calmness, I will cover you with my warmth, till you meet me in your half realistic fantasy.
I am never a feminist woman.
Difference is important. When this difference gives me a motivation to discover you, a passion to hold you, and a tenderness to accept you, why do we try to clear away the fence between men and women; women try to be masculine, men try to get feminine, when your brains are truly made for the gender which is preferable to you. I don’t have to be strong enough to battle with men, but I just have to be romantic enough to be loved by a man. That kind of thing.
So let’s be women, let them be men.
No longer call ourselves as Joshi, no longer call them Danshi.
Humans. Women and men, or someone in between. We are all living in this special world, searching our “other-half”, so passionately, romantically, ever.
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「アーアーアー」
わたしが自分の腕を見つめてそのまま上に浮かぶ血管に指を走らせていると、君が坂を登ってこちらにやっ てくる音が聞こえた。わたしは勘がとてもするどい。君はわたしに甘いものをもってきたのだ。昨日わたしは見た。君が夜空にはしごをかけて、そこに穿たれたたくさんのこんぺいとうみたいな星をバケツに落としていた。一つ一つが落ちるたびに、皮膚が凍るような音がした。君はそのとき謝っていた。ごめんごめんご めん、と、ヒトかけらずつ甘いものを集めていた。わたしが舟で川に浮かんでいるその間。まるで大きな天鵞絨を広げたみたいな水の上。わたしは唇の端に手を やって、これまでのしみをこすり落としていた。甘いものの匂いが近づいてくる。わたしの窓が開き、君が骨ばかりの手と腕と肘を突きだしてくる。芝生の青が遠くに広がる。夏と秋の色が混ざる。運ばれてきた手のひらのなかにはたくさんの星がつき刺さっていた。わたしは悪い悪い悪いと思いながら、その一つずつを引き抜き口に運ぶ。甘いものの甘い味がする。のどの奥にそれが一筋ずつ流れてく。君はどこにいるのだろう、わたしはすぐに見失う。君が手のひらを下に向け ると、ばらばらと星が木の床に当たる。その硬質な音でわたしはこちらへ戻ってくる。木の手、石の唇、硝子の目玉に針金の髪。わたしは固くて冷たいものが好きだ。
昨日僕は星をとりに行った。君がまずいと思ったから、磁石の棒ではしごを作って空に投げかけた。僕はとてもこわい。とりに行くのは とてもひどいことだから、バケツが手の下で揺れる。金属の冷涼で明確な感触。僕の星空は薄い灰色で、そこに填められた星は硝子の破片だ。ちがうちがうちがう、と思いながら僕はその欠片に指をのばし取りだしていく。一つ一つが違う角度から僕の顔を映す。君は言った、「星はあとからもらう」その唇にはかすかな 色がついていて、僕がみとめた瞬間に歯で噛まれて隠された。硝子は薄い皮膚をすっと切る。バケツがたてる音は、赤色の水、跳ね返り僕の肝を冷やす。つめを 見やるととても固く白く強く僕はそれに守られている、それで君も守る、危うくもする、だからそれを隠す。足の裏に重さを感じて僕は下におりる。たてがみみたいな草の上、寝転び空を見上げると僕のせいですべてが無しになっていた。君が望むもの、空白、無し、ゼロ。川の音が聞こえない。僕は君がいることを知る。箱庭みたいな舟を浮かべて君は水をすべる。君はとても、まずい。坂を登ると君の窓が見えたので迷わず開け放ち僕は星をあげる。君はすぐに食べてしま う、そこにあるものも見ずに、口のなかに運ぶ。僕を切った星は君のことも切りさきいつのまにか君は床の上に倒れて天井をあおぐ。布の顔、縫いつけられた青の唇。僕が手のひらを下に向けると、ばらばらと星が君の上に落ちる。その鋭利な感触で君はこちらに戻ってくる。君は、固くて冷たいものがこわい。
星 は雨で雲は光、木の涙に流されて私たちは宙を歩く。一歩一歩ないものを踏みしめてないものをつかみ取りないものを見つめて先へすすむ。わたしの甘いもの、 君のひどいこと、わたしがまずい時、君の固いつめ。わたしたちはどこへでも行ける、浮かび沈むことができる。箱のなかで、庭のそとで、月は影で色は無し。 わたしたちの大切なもの、機械、身体、そして落ちること。息、生き延びること。
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ああわたしの大切な精神。あなたの精神もそこにある。一対の肺のような、わたしたちの精神、わたしが唯一息ができる場所。
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善良なひとにはとてもかなわない。
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「SHE SHE SHE _ SHE.」
僕は何度も何度も彼女に言う。「僕は世界一幸せだ。だって君に選んでもらえたんだから」何度も繰り返す、のどが痛くなるまで胸が腫れるまで何度も何度も繰り返す。「君だって世界一幸せなはずなんだ、だって僕は君が大好きだから」でも彼女はいつも怒った顔をしている。きちんと耳をそばだてながら僕の言葉も呼吸もその無言の間も唾を飲み込む音もきいているのに、まるで何も知らないような顔をして僕の前に立っている。彼女が口を開くまでの間、僕はこれ以上ないく らいに君が好きだ、という表情で彼女の顔を見つめている。彼女が口を開く。彼女が口を開くと、まるで世界がそこに一点、収束してしまったみたいに思える。「わたしはいつも独りでそれはあなたがいても変わらなくて生まれたときからそうで、たった独りの怠惰で傲慢な生き物それでもとてもそれはかわいそうでかわいくて、それはみんなそうなんだけど、それを誠実に感じとっている人種はすくなくてあなたにはあまり感じられないみたいでだからわたしはとても独りに感じ て、でもそれは誰にもどうしようもないことだし、わたしは始めそれをとても良いもののように思っていたから、どんどんどんどん後を追って行ってみたので、 その結果あまりに遠くに来てしまったきっと、とにかく洗濯機がまわるみたいにわたしの頭はいつもこんぐらかっているから、ごめんなさいごめんなさいごめん なさいとぶつぶつ言うようにしてもあなたには本当のことは伝わらなくて、というのも本当のことなんてわたしは何も持っていないからで、わたしが持っているのはあなただけだけれど、あなたはわたしだけじゃない他の人々もたくさん持っていて、まるで何かを集める分子とか細胞みたいにあなたの周りにひっきりなしに集まってははじけて、それはウォルト・ホイットマンが【草の葉】のなかで声高に詠っていたように明るくてまぶしくて、人々はあなたが動くたびに煙のようについてくる。わたしにはそれがない、なぜならわたしはそれらを避けていたからで小さな虫でも飛んでいるかのようにわたしは手のひらをあちらこちらに漂わ せて思わず追い払った、だからそれはどうにも仕方のない、わたしの問題だ、ぶつぶつの種がないトマトみたいに軽くて柔らかくて冷たい、針だって簡単に突き 通りわたしの気が抜ける」僕は彼女の下唇が上向きに突きでるところが好きだ。だから言う「かわいいねえ」だけれど君はまだ言い足りないみたいで宙をあおいで言葉を掻きだそうと躍起になっている。眉毛のあたりが引きつれてひどいことになっている、のどを爪で掻きむしり舌が前歯につっかかっている。僕は彼女がかわいいと思うので、毎日それを言う。例えば朝起きてすこし湿ったおでこに産毛が張りついているところとか、歯を磨いたあとに口もとに歯磨き粉の白が残っ ているところとか、僕はきちんとそういうのを見つけるので、彼女に伝える「かわいいねえ」まるで自分が老人になったかのように盲目的に彼女を愛でることができる。そういうときの彼女の表情は見ものだ。彼女はいつものように怒っている。怒っているし、気が滅入っている。それでも小さな唇の端が少しひき上がる ので喜んでいるのが僕にはわかる。彼女にもわかっている。彼女にはきちんとわかっている。自分がかわいいことを。自分にはちゃんと、かわいいところとかわ いくないところがあって、その部位だってしっかり把握している。足の小指はとても丸くてかわいい。右の目は腫れやすいのでぜんぜんかわいくない。鏡に映っ ていつも自分自身を見とめている彼女を僕は誇らしく思う。そんなことを聞いても彼女のことをヴァニティだなんて思わないでほしい。彼女には彼女なりの理由があって、それが一番彼女を苦しめていることだと今僕は理解している。街を歩いていて、彼女の目が泳いでいたら、それは反射するなにか、硝子かぴかぴか光 るプラスチックの板かなにか、を探しているということだ。彼女は10分以上、自分を見られない環境にいるのがつらい。街のショウウィンドウに目をやる彼女 を今度じっくりと見ていてほしい。彼女の目は眠たいマネキンにでも店の奥のふざけた店員にでもなく、一番手前、我々と内部を区切っている一番の境目に薄く 映しだされる彼女自身に当てられている。彼女は心の中で胸をなでおろしているだろう。わたしはここにいる、と。そんなことをしなくても僕の存在が彼女の存 在を肯定するんじゃないか、存在なんて他者の存在無しに存在しなくてだから僕がここにいることで彼女がここにいて彼女がここにいることで僕がここにいる、 と知ってくれさえすれば彼女は自分の存在をいつでも確認できるのに、そんな単純なことが彼女にはできない。とても賢い人のはずなのに、彼女にはそれができない。たぶん僕は思うのだけど彼女は存在論なんてはなから信じていないんだ、だってたまに彼女は歌っている、「オントロジーオントロジー、わたしの蝉の鳴 き声、オントロジー、虚無の声」なんて。僕にとって彼女の存在はまるで僕を全面的に造りだす神の手みたいに、粘土を丹念に幾度も幾度もひねりまわすみたい にしつこく厚かましくだからこそ愛しい、そんな感じで僕は鏡を見るときも彼女をその中に見るというのに。彼女が鏡を見る癖はまるでかけてもかけても酸っぱ さを感じられないみたいにヴィネガーを料理の皿に落とし続ける彼女の癖と同じで、日に日に過剰になっていって、彼女は僕の眼鏡の中を覗き込むそこに自分がいるのがわかっているから、彼女は僕のカメラのレンズを覗き込むそこに自分が光っているのが見えるから、まるで僕を通り越して、なんて贅沢なことを言える はずもなく、彼女は僕、なんて単語まるで知らないみたいに自分自分自分自分、僕はヴィネガーと同じくいつも胸をつかえて咳き込んでしまう。「わたしが持っているのはトレイに乗せたスイカとそれをくり抜くためのスプンいっぽんだけだけど」彼女が言葉をつなぎ始める。「これでも足りないと思う、なぜならわたし が中身をみたいのは単なる果物だけじゃなくてまるで人間の頭のなか、そっくり単語ひとつ分、ひとつの音節分すべて残らず口に含んで、誰でもいいから誰かが 誰かじゃない誰かになってわたしじゃない誰かがわたしのものになって中に入り込んでわたしが誰かになってそれでひとつだ、とやっと叫べるほどの愛情とか信 頼とか形だけの真実とかそういったもの、それが欲しいのにお腹がすいている赤ん坊みたいにうまく手に入らなくて天井を見つめていちにいさん、と時間をつぶ して早く誰かがその食べ物をもってきてくれないかなあ、持ってきてくれないからその間はどうしても泣くほかなくてわたしは身体を身体から切り離して壁を歩 き天井に座り込みぐるりと部屋のなかをめぐる、その誰かをさがしてその何かを求めてその何かが何であったかの理由も形式も忘れて、ただひたすら爪を噛みな がら時間をないもののように扱ってなんとかここでやり過ごそうとしてる」その通り、その通りなのだ彼女の言う通り、彼女は自分のことを随分よくわかっている、それなのにどこにも行かないどこにも救いを求めない、終わりのないあやとりを永遠にひとりで続けているように、壁を向いてそれでも背中には太陽が当 たっているから彼女の小さい手のひらにからげられた赤い色の毛糸が細い影をつくっている。僕はそのかちこちに固まった首から肩、背中のあたりを眺めている しかない、そういったときは。彼女が言っているのはつまりそういうことで、彼女は全部知りたい全部言いたい、彼女には言っていことと言ってはいけないこ と、言うべきことと言わなくても良いことそういうことの区別があまりついていないようで、ふとパーティなんかで彼女を遠くからみつめると、まるで泡を吹き続けるストローのようでそこからはすぐにぱちんと消えてはなくならない類いのシャボン玉がえんえんと飛び出し続けている、そんな様子が浮かんでくる。つま り彼女は話しすぎる、彼女は話しすぎる、彼女はとてもすぐに疲れてしまう。またある時にはパーティの真ん中に用意されたふかふかした椅子なんかに深く沈み 込んで膝を抱えたまま寝たふりをして他者の言葉を一言ももらすまいと肩を張っている、そんな姿も僕はよく目にする。そのとき彼女は何にもしゃべらないかわりにとても哀しい、哀しい、哀しい、といった感情を心のなかで生み出しては口元まで運びそれを舌の上で転がすことでなんとかその場をしのいでいる。彼女に は語りたいことがたくさんあるのに、人に伝える言葉をもたないとき、他者がまるで違う方向を向いているとき、誰も彼女の周りによりつかないとき。赤とか青 とか茶色とか、とにかく色のしっかりついた服を着ている彼女のそばには、磁石の一方がさまざまなものを引きつけると同様他方が何ものも引き寄せないように虚勢を張っている、そんな電波だか磁波だか目に見えるくらいの曲線を描いていて僕は混乱してしまう。彼女は両極端の、まさにその岸ぎりぎりのところにいつ も立っていて僕がうっかり間違ったことをつぶやけばすぐにそこから飛び降りて消えてしまう。消えてしまうけれど彼女は魔法のようにまたここに戻ってきてな んどもそれを繰り返す、飛び降りたり舞い戻ったり飛び降りて傷だらけになってそれでもいっそ狂ってしまったかのように笑いながら嬉しそうにここにもどって きてしまう、僕はたまにそれがこわいし、あまりにもクリーシェだ、と言いたくなってしまうけれど彼女が戻ってこないと困るのでそれは言わない。僕はその他凡庸な考え方を持つ人間と同じように言うべきこととそれ以外のことの違いがわかっている、臆病かもしれないけれど賢いと思っている僕はとても賢い。例えば 彼女は読書会なんかに行ったら良いのに、と僕は思う、それを口に出して行ってみる、彼女は一瞬嬉しそうな顔をして「そうするそうするそうする、さがしてみるきっとどこかに良いことが待ってる、ル、ル、ララ、lungs lala lungs、ラングス」と歌いながらその場を幸福で満たしてしまう。けれども彼女は一向にそこに行くことがないし、道がよくわかっていない子供みたいにそこらをうろうろしたまま片手をあげてすぐにタクシーを拾おうとする、彼女は横着だから彼女は恐がりだから彼女は怠惰だ怠惰だ怠惰だ。なぜ彼女はあれほど唇 を意識するんだろう、だって彼女の唇はそれほど魅力的でない、それでも彼女は唇やら血管やら血やら肺やらそういったものを机の上に書きなぐっては後悔したように水で濡らした台布巾でこすり落とそうとする、そんなことをしてもあまりにも遅いのに、彼女はいつも同じことをして眉間にしわをのせてアラビア語の念仏をつぶやきながら息をきらしている。一体どうしたんだ、大丈夫、ここにいるよ、心配しないで、と僕が大きな声で叫ぶとようやく顔をあげてまた口の端に小さな感情をちらつかせて僕の目を射抜く目は鮫のそれのようでペパーミントみたいに冷たい冷たい。今日は早くいろいろなことをやめたので近所の果物屋によっ て彼女の好きな果物をバスケットいっぱいに買って行こうと思うけれど僕にはバスケットがないので、途方に暮れている。
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「活用する」
わたしの動詞はとても大切なので、あなたたちに遊んで欲しくはない、とわたしは言った。すると彼らのうちの一人が、「君の動詞はい つも宙に浮いているので、捕らえずにはいられないのだ」と応酬する。わたしは自分の胸の内の動詞を見直すことにする。[踊る・泊まる・うなる・沈む・霞 む・つねる・拗ねる] が主だった単語なのだが、わたしには到底それらが浮かぶとは思えない。「わたしの動詞を活用しようとしているのでしょう、それだけなのでしょう、だったら 勝手にすればいい」と、わたしは言ってやる。そのようにしてわたしの動詞は一斉に使われはじめた。彼らのうちのおんなの子二人が、「踊らされて困っちゃ う、踊りたくてうずうずする」なんて歌いだしたのを聞いた。そういうはめになった。わたしは横目で彼女らが踊るのを見る。区切られた箱にはいって、湯気の たつような熱気のなかで。その子らが更に言葉を足す。「今晩泊まれるところを探さなくてはね。実際、ベッドに一緒に沈みたい相手だって欲しい」あたり一面 にいる、わたしのも含めたおとこの子たちが振りむく。彼らがうなり声をあげる。そうかあ、こういった活用方法もあるのか、描写でいいのか、と妙に納得する わたし。そして、わたしのおとこの子が目を霞ませながらつぶやくのが聴こえる。「君たちの言葉、とても良いねえ。せつに心に響くよ」。動詞が遊ばれてしま うとこういった事態が起こる。わたしは自分の冗長なほっぺたをつねってみる。夢ではないということを認識するために、自らを傷つける行為が恥ずかしい。そ してもちろんそれは夢であるが夢らしくなく、現実的ではあるが現実にはない。つまり10と100が、同じような数字の成分でできているのと同様に、夢でも 現実でも性質はかわらない。同質のものには、同等の対価を支払う必要がある。というわけで、わたしは単純に「拗ねる」。わたしの動詞は、わたしによって活用されることは、決してないのだ。
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「牧師と昼食をとる。」
「なぜならわたしの消滅は静寂を併せもっているからです。」
その後で、朝食にはトーストとミルクを、という趣旨の発言をしたので彼らは安心した。
“Because my demise contains serenity.”
Then she stated something like, toasts and milk for breakfast, so they were all relieved.
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オンナは目医者に行く途中、電車を降りた駅の構内で目についた白と黒の包みの、キャンディ・バーを買った。ギザギザの両端に手をかけて、ど ちらから引き裂こうかひとしきり悩んだあと、何も考えずに一方に両手の指をかけて包みを破いた。どちら側だったのか、もう思い出せなかった。目医者に行く のはコンタクトの処方箋を書いてもらうためだったが、彼女は怖かった。診察室に入る前に座らされる長椅子には、いつもきちんと三人の患者が腰掛けている。 きっちり三人分のスペースしかないので、彼女はそれが怖かった。すこしでもずれたら、すべてが台無しになってしまうみたいな気持ちがした。いつも、後ろの 壁に髪の毛をすりつけて数を数えながら待っていた。チョコレート・バーには苦いキャラメルと固いアーモンドが詰まっている。アーモンドを奥歯で砕いたあ と、舌の上に戻してそのつぶつぶを感じるのが少しだけ楽しかった。彼女はまだ駅の混雑する構内に立っている。ロッカーのはじの、くぼみになった部分に身体 を埋めている。誰も彼女のアーモンドについて、しらない。誰も、誰かの舌の上に粒粒のナッツがあるなんてしらない。誰も、彼女がそこにいるなんて、しらな い。手のなかのバーがすべてなくなり、くしゃくしゃと光る包み紙をポケットにいれたあと、ようやく改札に向かった。改札を抜ける。誰にも見られないで。そ して、オンナは昔牧師と昼食をとった時のことを思い出した。日曜の朝、フリーウェイを一つ降りたあと、小さな住宅街に向かうと、そこに礼拝堂があった。そ の一般的でこじんまりした礼拝堂は、そばにある公園のせいで、森のなかに建てられているように見えた。その時一緒に居た人に付き添ってなかに入ると、たく さんの白い笑顔に迎えられた。口だけがいくつも、透明で無臭の空気のなかに浮かんでいるみたいだった。会衆席は木でできていたのに、オレンジ色みたいにつ やつやと光っていた。冷たくて堅い、板の上に座る。一緒に居る男は、前のめりになって前の席に両肘をつき、顔を手で包んでいた。長い両脚は、長椅子の添え 木のところに高く引っ掛けていた。オンナは、それが失礼な行為でないと良いけれど、と思ったが、誰も何も言わないので放っておいた。いずれにせよ、ここは わたしの場所ではないのだ。ここに来たのは、彼の友達である、牧師が彼を誘ったからだった。牧師はオンナと同じ年だった。一緒に居るオトコは牧師と彼女よ りも四つ年下だった。彼は牧師がスターバックスで水パイプを吸っているところで出会った。彼はマルボロライトを吸っていた。外に張り出したデッキの席だっ た。牧師は彼に水パイプを勧めた。彼はお返しに煙草を差し出したが、牧師は笑って首を振った。二人はそのまま二時間ほど語り合い、牧師は次の日曜の礼拝に 彼を誘った。そのとき二人が何を話したのか、オンナはしらなかった。ただ、その出会いを聞いたとき、彼女は心底ほっとした。思わず大きなため息をもらし て、気分が高揚して顔が赤くなった。血が身体中を巡る音を聴いたのは、その時が最後かもしれない。祭壇の右側に、その牧師は座っていた。その隣には彼の ガールフレンドが座っていた。年老いた別の牧師が説教をし終えたあと(説教の最中には、信者からの訴えや質問等を聞き入れる時間もあった。信者の一人は、 コネチカットにいる、病気の叔母に祈りを捧げてほしい、と頼んだ。牧師は彼の言う通りにした。カリフォルニアからコネチカットに祈りが届くには、どのくら いの時間がかかるのだろうか、と彼女は思った。)、みなが一斉にたちあがり、何かしらの歌を歌った。若い牧師はいつのまにかアコースティックギターを持ち 出して、会衆を煽動している。ガールフレンドの金髪が、歌に合わせて踊っていた。それは天窓から入る光を受けて、オンナの目を突き刺した。昼食はその後 だった。「もろもろの片付けがあるから」と牧師は言った。オンナと年下の男は、車に戻ってファーストフードチェーンがならぶスクエアに向かった。牧師はそ こにある、メキシコ料理屋を指定していた。オンナと男は、テラス席に座って待っていた。リスが二匹、彼女の視界を通り抜けた。日差しは強く、彼女は座る位 置を決めかねていた。礼拝用に、柔らかいワンピースを着ていた。オンナはサングラス越しに銀色の車が光ったのを見た。牧師と金髪のガールフレンドが車から 降りてきた。みな、ライスの上にブリトーの具を乗せるランチを頼んだ。オンナはチャーボイルド・チキンを選び、牧師と男はポークを、ガールフレンドは肉無 しにした。そしてワカモレを追加した。それにコークのLサイズが三つ、ボトルのミネラルウォーターが一つ。三十ドルすべて、牧師が払った。年下の男は嬉し そうな顔をしてオンナの方を向いた。が、彼女の視線は外のリスにあった。オンナは、自分が牧師とガールフレンドと同じ年であることに驚いていた。彼らは結 婚していた。車はシェビーだが新しくてぴかぴかに輝いている。家は礼拝堂のそば、公園を挟んだ向こう側にある。ガールフレンドはオンナにたくさんの質問を した。どこからきたのか、何をしているのか、何を勉強しているのか、なぜここにいるのか、ここが好きか、故郷はどうか、そして信仰心はあるか。オンナは質 問が好きだった。質問されれば、異国の言葉でも躊躇なくはなせる。自分のことを伝えることができるのは、幸せだ、と目を細めながら思った。金髪が太陽の光 でオンナの目をくらませた。年下の男はずっと黙っていた。牧師はその様子を終始観察していた―
目医者に着くと、オンナは黙って鞄を探り、財布のな かから診察券をとりだした。受付の女がそれを受け取り、オンナを待合室へと誘導する。それは、すべて片手と笑顔だけで行われた。言葉はなかった。待合室の ポスターは、すべて検眼用の丸とカタカナでデザインされていた。そこにも言葉はなかった。オンナは再び鞄を探った。言葉はあの日曜日、牧師と昼食をとった 日、冷えきったライムライスのなかに置き忘れてしまっていた。
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「トーワのこと」
Towa murmured something and the voice was flushed away in a second when it was uttered, because of the wind, maybe, or because the flowers were blooming so fast and the noise they made was too loud in the backyard. Towa was sitting on the grass, picking at her toe, wondering what he was up to by then. トーワが昨日彼に言ったのは、つまりこういうことだった。”Don’t get at me when you’re thinking about your dog or some shitty things-people.” 芝生から草を幾つか引きぬいて、辺りに散らす作業に没頭しながら、彼の犬(もしくはしみったれた人々)のことを考える。”And I don’t think you can like me or love me when I am not really liking or loving myself. It couldn’t be right.” 無理な注文ではなく、ただの提案だとトーワは思ったし、自分の意志だけじゃ誰の意見も変えられないことも重々承知だったので、言い終わると直接駅に向かって家に戻ったのだった。自分を好きになるのは簡単だからこそ難しいのだ。苦手なボウリングみたいに、重たい気持が溝にはまって上手く前に進まない気持がする、と彼女は思った。”You know I’m cool and all…” he said, as she walked away from him, and Towa was all ears. トーワは彼の声が好きなのだ。But she just couldn’t make out what he meant by that. She turned back once, but he was gone already, which hurt her a bit. ちょっとしたことでも傷つくんだなあ、と自分に驚きながら、再び草に手を伸ばす。いくら引いても後から後から飛び出してくる植物の存在が、トーワには優しく感じられ、だからこそ止めることができない衝動に駆られている。Sufficient beings were playing in her favor in the yard. 裏庭では、十全な生きものたちが彼女を味方していた。すごい勢いで咲き始めた花々はトーワがしゃくりあげる音を消してくれたし、根付いた悪意も風が少しずつ引き剥がそうとしはじめていた。Why am I so evil, now and then, she questioned herself. Towa had never got a clue, and as it was destined to be born alone, without any siblings, her vicious feature was inherent, and she hated herself when she had to make snide remarks on somebody at him. だからこそあの日、トーワは伝えたかったのだ。自分が変わるまで彼も変われないかもしれない、兄弟がいないから哀しいのかもしれない、そして暫くはどうしようもないかもしれない、ということを。When the burning passion in her soul had to be twisted into criticism or mockery against people, he was the one to take it anyway, and it was too sad for her to accept. 槍玉に挙げられることはないにしても、矛先を向けられるのはいつも彼だ。爪の中に土が入ったのに気づくと、トーワは引き揚げることにした。なにしろ太陽も自分の目線と同じほどに落ち込み、and her mood as well, falling down slowly, making a sharp curb at the corner of the pale sky. 心が鋭角に下がりはじめたのが潮時だと分かっていた。犬(や他の人々)のことはもうきれいさっぱり忘れてしまった。Or maybe she hadn’t even thought about the dog or some others in the first place. A dog and people, または彼のことも。Only the living things in the backyard could make her feel alright. It’s true, he was cool and all. And I am cool anyway, thought Towa. クールで居ることしかできないのなら、とトーワは最後にもう一度考える。情熱を沈めるのに使うのも悪くない。 Passion can possibly kill her, she knew. It is basically killing her. 緑に染まった手のひらに、彼をひとり分掴んでしまうと、トーワは独り静かに家のドアを開け、このまま夜を過ごそうと思った。
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「関節はからっぽ」
独りのへびが、運河のほとりで昼寝をしている。牛乳みたいな光のなかで、恋人がエッグベネディクトをつくる夢をみているのだ。昨日はじっさい、抜け殻のようだった、それに朝起きて気づいた。柳の木がなん本も枝垂れている。細い細い、髪の毛みたいな葉っぱが柔らかいへびの体にいくつか影を落としていた。「僕にはうまく食べられないから、君が僕を食べて」 聴いたはずの声が、今一度新しいもののように頭のなかで響く。まるで伽藍堂だ、と、へびは眠りながら独りごちた。自分の体のすみずみにまで、恋人が満ちていたはずなのに、今はもういない。鮮やかな紅の舌がのびて、その舌にもう一匹を包み込んだのは夜だ。欲望だから仕方が無い。内に沈んだ体が二重になりそこからもう一度重なり合い仕舞いには一つの薄い膜になり戻る。うまくやった、とへびは考えていた。それなのに見えない、体は感じない、声だけがびろうどの様にぼやけて鳴る。もちろん陽は少しずつ翳り蜂蜜になりへびの体に静かに垂れる。細胞と細胞がいつのまにか溶けて一つの欠片になるみたいに夢に運ばれて手に持っていた小石がストーブの上に落ちる、三角の旗がなん本も遠くに流れる空が燃える本が騒ぐ虫がゆっくりと大河を渡っていく。ほっと一息つくとそこは群青の夜でもう一度、もう一度だけへびは試してみたいと思う、欲望についての哀しい哀しいやりとりの話。
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「イン・マイ・マザーズ・ウゥム」
はじめて彼女が彼から受けたパンチは、右腕、ちょうど肘から5センチほど登ったあたりだった。彼女は車のなかにいて、彼が食べたものについてわめきちらしていた。彼女の名前はMaliceという。本当の名前ではないけれど、みんなはそうやって彼女を呼ぶ。誰が名付けたのかはわからない、だけどその響きから受ける彼女の印象に関しては、みんな同意見みたいだ。
ある日、友達のひとりに彼女は打ち明けた。昔はよく恋人を食べたものだと。まずは彼らの指先からはじめて、かりかりの固い爪の食感を味わう。それから歯と歯のあいだで、それらの強健な指の関節をいっぽんいっぽん楽しむのだ…
実はいまだって、彼女はあの、メイクラブの瞬間たちを覚えていた。無に帰す禅僧の精神と同じくらい、クリアーに。最後のお別れを求めて、彼女の舌のうえにたてられる彼らの爪とその痛み、それらを彼女は恋しがる。彼らの目のなかには、完全なかたちの優しさが見いだせる。誰も彼も、社会的地位がたかい家 族の出身だった。でもみんな一様に野心というものを欠いていた。自分より下の階層のひとびとに対して憐れみをしめすことでのみ、世界に参加することができ る、やつら。手首を噛み切ってやると、彼らは叫び声をあげた。「Mea maxima culpa!」知識なんてそれ自体で罪じゃないか、彼女はそう思った。
彼女をぶん殴ったあと、車の後部座席で、彼は自分の不幸な生い立ちについて考えをめぐらせ始める。
ある日母親は彼に言った、まだ彼がお腹のなかにいるとき、彼は殺されることになりそうだったことを。「わたしのかわいい坊や、知っておいて欲しいん だよ、わたしがどんなにか苦労してお前を守ろうとしたかを。父さんがお前を殺そうとして、わたしに無理やり薬を飲ませようとしたときにね。」彼女はその薬 を上あごに隠しておかなければならなかった。薬を飲んでしまったと、父親が信じ込むまで、舌でその薬を上あごに押さえつけて隠しておく。「舌がしびれそう だったんだ。だからそれ以来どうしても舌っ足らずなしゃべりかたしかできなくなってしまった。」彼は母親がくれたというその保護のことを思った。彼が安心して、形のない分子へと溶け込んでしまうことなく、母親の子宮のなかで浮かんでいられたという保護について。そういうわけで彼は母親のなかから、人間の赤 ちゃんの形をして外に出てくることになった。実の父親には望まれず、そして実の母親にも後に見捨てられることになりながら。母と子が離れ離れになってしま うと、赤ん坊が母親から受け取るはずの保護も満足感も、なにもなくなってしまった。
彼は自分の顔、そして首のあたりに触れてみる。空気中に溶け込んでしまうことがないように、また、健全な23歳の男という形を作り出してくる、その皮膚を感じてみる。まだそこにある、と彼は確認する。Spiteはまだそこにいる、車のなかに、おんなの子を殴ってしまった気恥ずかしさを少しかんじなが ら。彼は彼女を見る。彼女も、そこにいるのだ。
Maliceは自分の右腕をみる。皮膚のしたに、腫れのような膨らみを感じることができる。なにか訳のわからない生き物が、彼女の腕のなかから出て きそうな感じがする。彼女の皮膚を突きやぶり、この星ひとつない空のしたに血だらけの現場を作り出す。彼女はその名もない生き物の熱を感じとる、そしてそれが、この意味の通らない世界に生まれてくるのをじっと待つ。
Spiteはいまでは泣きべそをかいていた。両腕でぐっと抱えた両膝に、顔を隠して。母親の子宮のなかで、分子になって溶け込んでしまうことを思っ た。真っ暗な夜の闇、姿を隠している星たちのことを思った。そして想像する、その星たちが発する目もくらますような光りを、それらが月に衝突して、宇宙の なかに何百万個ものくずになってはじけ飛ぶところを。
SpiteとMalice、彼らはすこしずつお互いに近づき合う、またひとつに戻るために、しみひとつない車の天井のした、物音ひとつたてずに。
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「まずい苺のヨーグルト」
彼は電話口で言っていた。「一人で映画を観にいってきたよ。」彼はニューヨークに2日間だけいた。「本当に観たんだ。一人だよ。」報告だ。彼は報告し、わ たしは聴く。わたしは訊き、彼は答える。それでも決して応えられることはない。互いに。一人で君が映画を観られるようになるなんて、とわたしは思った。内 容は、親のいない同士の少年少女が、路上で生活しつつ様々な経験を積み…といったようなことだったと思う。わたしは殆どまたお腹が痛んできたので、言葉半 分に聞いていた。「観たんだ。」と彼は繰り返す。そう、良かったわね。わたしはもう泣けない。キッチンテーブルに寄りかかり、片足でバランスをとりながら 冷蔵庫をみやる。様々な州のマグネットがある。北米大陸を再構築しようとする試みだ。カリフォルニア州は縦に長い。日本の国土と大概変わらない面積の土 地。受話器に当てた耳が不快にくすぐられる。不快だなんて。そういう単語に辟易としてしまう。それも日本語で。苦痛の声というものがあるのだ、唯一本当に 苦悶している人間だけが伝えられる電波信号のようなもの。蜘蛛が耳に入り込みそこに巣食い脳みそがいつか耄碌してしまうといったようなホラーコミックスを 読んだことがある。それも一匹ではない。でも蜘蛛は知人だ。見知っている感覚というものは無駄に出来るものじゃあない、と思う。慣れてしまった不快感や諦 観。すべて自分の腹で受け止めてきたみたいなこと。彼が一人で映画館に入っていくところを想像する。一体どんな服を着ていたんだ?わたしがあげたそれだろ うか。様々なティーシャツ。日本のものを好むのは決して彼だけではないのだが。細い身体が通りをうろうろと彷徨うところを浮かべる。そう、浮かべることし かわたしにはもう出来ない、目は出来れば使いたくない、これ以上。一つ一つの表情が苦しみに満ちていてわたしには逃げ場がなかった。目尻だとか口元とか堅 く締まった拳とか、もううんざりなんだ。彼はクレジットカードを差し出す。学割は利かない。幾度と無く紛失した学生証のなかで彼は一様に同じ顔をしてい た。髪型と服だけがスロットマシンのロールのように変化していった。窓口で彼は映画のチケットを受け取る。申し訳なさそうな表情が彼の顔をかすめる。どう してなのだろう、彼はいつも恐縮していた。実際に身体のなかでは溶岩みたいな怒りと軽蔑が血管中を巡っていたはずだった。どうして?訊きたくても訊けな かったこと。答えのない現実みたいなものがあるのだと今になってはわかる。「それだけ?」「え?」「ニューヨーク。」夏できっと暑かったはずだろう。「レ イ・カワクボ。」と彼は言った。わたしは再び頭に血が昇る。さんざん言ったのに。さんざん、いちいち、わざわざ、せっかくだから、伝えていたのに。いけな いことだと、それが身を滅ぼすよ、と、いちいち、わざわざ、さんざん。一本の白い線みたいな失望。「お腹を壊して病院にも行った。ERだよ。高いんだ。お 金が全て無くなった。チケットがあったから、それで帰ってきた。」足元を見る。夏だ裸足だフローリングに直接当たるわたしの裸の足だ。それは皮膚できっと 呼吸をしている。それぞれの口がどんなに板に押し付けられようとも少しずつ、かすかに隙間を見つけて必死に呼吸をしている。その一つ一つの口が吐き出す熱 みたいなものでわたしの足は温度を維持する。「痛かったよ、お腹が。よくわからないんだ。たぶんヨーグルト。ホテルの朝食ででたやつなんだ、苺の。」そう いった類の言葉を、彼は1分以上かけて喋る。彼は語らない、喋ることしか出来ない。音声の伝達。意志や意欲や意味らしきものは喉下に追いやられたまま彼の 腹を蹴る。同情。情緒を同じくすることが同情なのか。せっかく分節された言葉を認識してみようとするのにわたしは哀しくて哀しくて哀しくてとてもついてい けない壁に爪をかければ一切のそれらはすぐに剥がれ落ちてしまう、時が我々を同じくするというのは月が星と同調して夜をあかるく照らすみたいに陽気で気概 が示された行動なのだろうが、わたしたちは結局のところ炎と炎と炎みたいなもので手をかざしてしまえばあっさりと皮膚が溶けて隙間がないくらいにまるで息 苦しい。わたしはもう片方の足に体重をかけ直す。つまり体勢を立て直す、もう一度耳と口を駆使する決心をする。「そうか。」きっとヨーグルトはまずかっ た。大概のそれがそうであるように、アメリカ。同じラベルでも決して同質ではないという恐怖の認識が君の腹を壊す。全てきっと壊す。金とか好機とか人種と かそういうのが徐々に君を壊していくのだろう。”I flew back right away.” 「飛んで帰ったよ。」でも何処に?と訊いてしまうのは野暮だろうか、君には家がないし行き場もない。なんて冷気に満ちた心をわたしは持っているのだ、と気 づき実際哀しみに暮れる。その後わたしはそういう暮らしを2カ月ほど続け、秋の訪れと共に心に喜々とした感情が葉の色づきと同様、呼び戻されるのを感じ た。まるで当然。綽々とした様子で笑を顔中に広げて。つまり、今に至るということ。重層的な幸福について、構造的な奇跡についての話。
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「妻へ」
きみはいつも生き生きしているけど、僕はきみから去る。他の者たちの為に生きると決めてしまったから。きみが毎晩泣いているのを知っていたし、僕が家に着く少し前にその涙を拭い去っているのも知っていた。そういうのにもう耐えられそうもない。人々は僕を待っている。彼らには流す涙もない、喉が乾きすぎているから。隠しごとがあると思ってるだろう?他に愛する人がいると思ってるだろう?もうきみを愛してないと、思ってるだろう?僕が唯一言えるのは、僕が愛してるのは自分だけ、ということ。3日前、きみは僕に近所の子供たちが、うちの庭でキノコ摘みをしているのを見たと教えてくれた。きみが彼らを叱らなかったこと、そしてそのことをどんなに嬉しく思っているかということ。僕はきみが男の子たちに微笑みかけているのを想像してみた。太陽のした、秋の収穫のいい匂いを嗅いでいる男の子たちに微笑んでいるきみを想像して、その瞬間は、きみのことをまた愛したのだと思う。でも僕はその日の食卓で何を食べているのかに気づいてしまった。カップに入った熱いミルクスープの底に、刻まれたキノコが沈んでいた。僕は何の気なしにそれを掬い、口元へと運んだ。きみは僕を見ながら口を大きく引き伸ばして笑った。スープは熱すぎて、僕の舌を焼いた。きのう、僕はやっと告解を終えた。日影のなかで、神父は僕の真実の言葉を聞いて涙を流した。その時僕はきみのことを思った。きみのことを思って、思わず身震いした。僕の告解を聴いたら、きみは何を思うだろうか。きみは僕の子供を5人産んだ。そのうちの2人は僕に似ていて、残りの3人はきみに似ていた。とてもフェアじゃないか。今日、この手紙をポストに投函する前に、僕はきみの部屋に寄ろう。きみはソファの上にいて、コーヒーを飲んでいるかもしれない。ミルク無し、砂糖無し、いつものように一滴のはちみつだけ。とても儀式的な習慣だ。きみは本を呼んでいるだろう。何の本だかはもう当てられない。きみの名前を呼んで、きみはこちらを振り返る。きみの目にはいっぱいの涙。その涙を僕は手のひらで受け止めて、あの人たちの乾きを癒さないといけないのだ。それは僕の欲望を癒し、夢のなかで燃え続けているあの火を消し去ってくれる。きみは歌うかもしれない。最後の歌を。きみが口を開けると、煙がもくもくと出てきて僕の目を痛める。だから僕はドアを飛び出していく。きみのコーヒーは冷たくなる。本は読み終わらない。妻へ。僕は行くよ。行かなくては。僕は行く。行くんだ。行くよ。
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“CONVO”
「ねえ、まえにいこうよ、ぼくはぱっかりと口をあけて、あまくておいしいハニー(きみのことだよ)をうけとめるんだあ。ねえ、とーすとはちょっとこげたね、そこがすごくいじらしくて、かわいらしいよ。ぼくはだって、よくぼうがね、さいゆうせんだから、口、だけでいきていける。」
「あら、わたしはここにたちどまって。ここからみえるかりかりとしたけしきがね、あまりにもくーるで、うっかりところがりおちそうだから、わたしはしっかりと手をにぎりしめて、ことばのつめをさくさくとたてるの。つるりとした、みらいなんてあまりすずしくなさそうだから。ねえ、わらってくれてもいいけれど、わたしにはこうした手がだいじなの。ここに、とどまるためにね。」
それは、わたしじゃあない誰かからの、それはサムワットストレンジャーなきみたちからの、「さようなら」というしるし。とても現実的に熱いコーヒーをゆびさきに感じながら、くちにだす、「アイライクユウ」のような、あかるいひびき。
ゆびさきは、くちさきではない、本物のしるし。手紙によせられた、ぴんくのリップマーク。
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「やさしいよる」
知らない街に行ったとき、一番重要なのは、その街の匂い、場所から場所へ、わたしは浮遊する、空気を一斉にわたしの胸に送り込みながら。
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彼女は夢の男と一緒にいる。今まで見たことが無いような夢、すごすぎて夢になんて見れなかったような、そんな夢。通りで、彼女はその男と手をつないでいる。彼女は指に触れるのが好きだ。一本一本、彼女は触れる、彼女の小さな魂たちにしっかり繋ぎ合わされた、未知の骨の筋を一本一本。彼女の左側の、細くて短い魂を、彼がぎゅっと握りつぶしたとき、彼女は心臓のざわめきを感じる。それで彼女は彼の指先の硬さに触れはじめ、その一本を口にやり、カリッとした部分を感じてみる。彼女は眼を閉じる。ふたりともまだ通りを歩いている。向かう場所はない。家以外には、どこにも行けない。そして家はそこにない。通りが一本あるだけだ。その通りを、彼らは歩き続ける、彼女は眼を閉じたまま。視力を失えば、もっと街の匂いを感じることができる、と彼女は言う。彼女は一時的に視力を失う。彼女は知らない街に行くと、いつでもそうするのだ。躓くのが怖い、と彼女は感じる。それは文字通りでもあるし、比喩的にでもある。空間を突き進むにつれて、雲たちが一斉に彼女の脳を取り囲む、と彼女は思う。彼女の脳だけがそこに存在する。彼の左手とつながっている彼女の右手は、身体から切り離されているようだ。2つの血だけが、それぞれ混じり合い交換されていく。彼女は血の流れを想像する。ふたすじの急流がぶつかり合い、彼女の頭のなかにざぶんと音をたてる。もしかしたら、と彼女は思う、それはただの胸の高鳴りなのかもしれない。たぶん。眼を閉じたまま、彼をうかがう。彼の顔のあたりに首をかしげ、そこにある、と想像する。たしかにそれはそこにある。彼の素晴らしいあごひげを触って、彼女はそれを確信する。ちょっとのあいだ、彼女は自分の右手を、彼の左手から離さなくてはいけない。彼女は右手で彼のあごひげを触っている。手と手が離れる瞬間のちょっとした恐怖を彼女は感じる。指先で、彼のちくちくするひげに触れる前の、ちょっとした瞬間。若者たちであふれるバーから、ネオンの灯りが差し込む。空が明るい。若者たちは芸術家だ。若者たちは彼の友達だ。街をさまよい歩く前にお酒を飲んだバーでついた、煙草の残り香を感じる。キューバリブレを注文した。そのお酒を飲んだとき、彼女はキューバで過ごした日々のことをおもいだした。彼女の夢の男―素晴らしいあごひげをはやし、革命への情熱と、文学への愛をしたためた男ーがそこで眠っている。彼女は彼にくちづけをした。彼の唇は冷たかった。彼の唇は銅でできていた。サンタクララの空は青く、彼の唇は銅製だった。彼女は唇で、キューバリブレの入ったグラスに触れる。唇は、やはり冷たかった。キューバの冷たい唇。彼女が今いる街の冷たい唇。彼女は彼に言う、「どこへでも連れて行って。怖くないから大丈夫。目が見えなくなっても、この街の匂いを感じて、あなたと一生一緒にいる。」奇妙な大胆さが心のなかに生まれるのを、彼女は感じる。彼女にはわかっている、この街が与えてくれる、ロマンスに酔っているのだと。彼のジャケットについた煙草の匂いと、彼女の息から湧きだす、くらくらするような香り。最高だ、と彼女は思う。彼に導かれ、彼女の足どりは軽やかだ。手のなかに、彼の力強い骨を感じたときに、彼女の顔からほほ笑みがちらつくのが見える。彼女は道の上に転がる石ころを感じ、それをちょっと蹴ってみる。下に広がる世界に、投げキスをするみたいな気軽さで。通りに出た人々は、グラスを片手にビールをすすっている。彼らは彼女を見つけ、彼女の目が閉じられているのに気づく。柔らかく閉じられた彼女の眼に、彼らは自分たちの夢が戻りつつあるのを見とめる。青白い彼女のまぶたの上に、街灯がちらちらと降り注ぐ。彼らは自分たちの夢をみる。彼らは眼を閉じる。彼らは街の匂いを嗅ぐ。今まで嗅いだことがなかった、自分の街の匂い。煙草の匂いと、長く忘れられていた自分たちのロマンスの香り。「夜はやさし」、彼女はつぶやく。彼の唇を、自分にの唇で受け止めながら。
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“TINY SHOES AND WONDERLAND”
口の中に入り込んできた髪の毛をすっかり取りはらう。緑の細いストローから冷たいコーヒーをすするのに慣れている、そういう唇の彼女が言う。くすりのなかには、良いものと、悪いものがあること。良いくすりには紙のものと、空気のものがあること。彼女は空気のものが、飲みにくいということ。空気のものは、おんな用と、おんなの子用があって、彼女にはどちらを飲んだらいいかよくわからないこと。緑のストローから緑のコーヒーをすする、緑色の唇。悪いものはクリップ型のものが主流で、いつの間にか洋服の肩のあたりに留められていることがあるので、気をつけなきゃいけないのだ、と彼女は言う。どこにでも入り込んでくるその髪の毛は、風に揺られて単純に動きまわる。純粋になびき、流れる。悪いくすりは、基本的におとこの子から受け取ることが多い。おとこ用のくすりは、まだあまり流通していないので、彼女には手に入れることができない。彼女は、「ヴィム・ヴェンダースの映画みたいな匂いの」クリップが欲しい、と言う。あなたには、「ミランダ・ジュライの髪の毛の色」の紙のくすりが似合う、とも。彼女は若手作家のような眼鏡をかけながら、熱心に話す、水っぽいコーヒーに涙を落としながら、ゆっくりと、僕に向かう。僕はポケットのなかにあった、ガムのくず紙を取りだして、そこに自分の名前を書きつける。ミントの薄っぺらな匂いがする銀色の紙は、僕の宇宙船みたいに見える。彼女がその丸い窓から顔をのぞかせている。彼女が口に指をやるのが見える。彼女が左手で、胸をノックするのが見える。彼女が、空気を飲もうとするのが、そしてすぐに吐き出してしまうのが見える。彼女にはくすりがない。よそよそしい星々が真空にただよう、彼女の空の上、雲の下。ストローを通り越して、髪の毛が入ってくる、彼女はすぐに窒息してしまうだろう。雷に打たれたように明るい、明け方の光のなかで。きっと、彼女は、静かに終わる。僕の、うす甘い匂いの紙くずに包まれて。虚空の、コクーンに守られて、彼女は逝く。ユアーズ、トゥルーリー、1983。
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“THE BEER IS ALL ASLEEP”
彼女の声はかちかちだったし、熱もたかかった。電車のなかに浮かんでいる目玉にびくびくしている、ため息ひとつ。舌のうえにくすぐるみたいな興奮を感じる、歯と歯のあいだで、飴玉が溶けだしている。若さが彼女を職場から遠ざける。橋は、3つの川を一つにつないでいて、夢をなくした年寄りたちが3つのやり方で水に滑り落ちていくのをそそるらしい。「はい」、と「いえ」、と「ない」。大抵の人は、はい、といえ、の混じり合った水のあたりに身体を滑り込ませる。人生の最後でも、年を重ねた魂でも、決断は難しいものらしい。彼らの死んだ身体は、それぞれの水の中に棲むそれぞれの海の生き物たちが分かち合うことになる。身体をひと齧り、そんなことを思っただけでも、僕の青白い皮膚には悪寒が走ってしまう。ある男が、仮面をつけた犬を片腕に抱えながら、はい、の流れに落ちていくのをみた。彼は、いえ、の流れに左腕を伸ばして水をすくうと、その犬にひっかけた。そんなところを見ていて、僕の皮膚がぞっと泡立つのを彼女は見る。彼女の舌はもう真っ赤だ、口のなかで遊ばれていた、苺飴の色だ。22世紀、僕のひとびとが吐きだす混じり合うことのない息、面白くなさそうなまなざし、僕は思う、ああやっと電車は本腰を入れ始めたみたいだ、やつの早回しの人生のなかで、やっと初めて。5分後、この蛇みたいな信用にたる赤い電車は、ない、の流れの中にどんどん落ち込んでいくはずだ、流れはとても強い、僕に押し付けられてくる彼女の唇みたいに、強い。僕のビールはポケットのなかですっかり睡眠中、灰皿で凍えたベイビーちゃんがくしゃみをしてる。星が近い。朝の明るい空気のなかの、僕の暗い暗い思い。
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「食べられるたましいたち」
あなたはわたしの西瓜をたべる、つめたく切られて、赤っぽい
しるがあなたのくちびるをつたう、べとべとの指がふれる
わたしの顔に、わたしの目を、鼻をそして唇の膨らみを
わたしの顔が映ると言う、あなたの脳に、わたしのあたまのかたち
オレンジみたいだね、とあなたがいう、台所にある、わたしが昨日買った
でも、ほんとうは、わたしの顔がりんごみたいに赤くなること
あなたがわたしにふれるとき、それをあなたは知らない
あなたの目玉はすっかりくりぬかれて、あとには凍ったライチーが
暗くて深い、あなたの二つの心のあな。
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“Euphoria, as it was coined as follow”
きみが言うように洗いながす。わたしたちとても清潔。いつも食べる動物たちの命といっしょに、持ち歩くそれらの染み。笑みの点々が一枚の布の上に、 落ちる、ワインでダインでワインなんかしないで。誰がわたしに花をあげろと?きみか、おそらく、たぶん、いい度胸をしている、鼻先にそれらをしっかり強制する。わたしは悲しみと哀しみとともにその押しつけられた、美、を吸いこむ。そうしたらきみが、ちょうどわたしの目を細めるだけの分、片手のひら一杯の至 福をもってやってくる。そうね、わたしの緩んだ顔に、一対の丸木橋が架かった。たしかにきみは、わたしの上に地図を貼るのがどうもすきらしい。
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おぼろげな光のなか、狭い路地でわたしたちは釣りに出かけるのだ、きみが「雲、きみはとてもきれいだ、雲、きみはとてもきれいだ」とつぶやくのを聴きながら。
「魚が釣れたわ!」と言いながら、わたしは紐をうえに引きあげ、わたしの鼓動する心臓をきみに見せる、それは潰された紅蕪みたいな色をしている。
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「プライヴェート空間」
このアスファルトに落ちたリンゴを見よ。なん千にもわたる蟻たちが辺りを這いまわり、その果物のからだを齧りながら自分らのしっぽをくねらせている。ちび た舌のうえで甘・酸っぱ(み)を感じている。暗暗としたコロニーにひそむ、わたしの矮小な子どもたちよ、ケチャップで汚された、それとも血みたいな色のわ たしの唾だった?大概に不安な蟻たちごめんなさい、わたしには君らがどう感じていたのか、よく分かる、例えばなにか偉大なものに仕えるべく袋いっぱいのト ロフィーを携えて「イエ」に帰ってくると、魂がすっぽり抜け落とされている。そうこうしている間のわたしは寝ぼけ眼で、300ドルするメイソンピアソンで 縺れたかみの毛にブラシをあて、鼻のしたから嘘ものの口ひげを垂らしている。「ぼくらの鼓動はカスタネットの音だ」と君らはいつか教えてくれた。それが君 らの人生観なのか。わたしが知らない、だけ?
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「Shrieking laughter」
8つのかたまりに分断される
賢治の哀しいヨークシャイヤみたいに
雪の中に沈む
Where did my dog go?
赤い8つの私の
暖かかった、凍えたもの
Where is my grandpa going?
世界が宇宙で真空でいつのまにか
支払われた切符ででていく
Where did my grandma go?
Like an angel, like a ballet dancer
They said, praising me, clapping their hands
like a craze, amazed
Where did my people go?
星が口のなかで痛い
Where are they going?
What are they blaiming?
蜂のように私は指される
人の指が背中にあたる
ヨークシャイヤみたいに私は
耳があり頭があり心があったので哀しい
冷たい白に沈む夢を見る
But only I know
Where the pig went
Like the world’s bent
And what I do know of
The pig devided into 8 pieces
Like a pointed needle
Is hard to touch.
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「赤と緑はこの火の色」
きみの大きな唇は、ちぎれた赤いリボンだ、どこにでも結んでし まえるひらひらとした細い布の切れ端、僕の目の前にいくつも丸い輪をつくって踊る、かつかつと鳴らして近づいてくる真っ赤な靴だ、白くて冷たい床の上を跳 ねる一対の革の。凍った池の真ん中に空いた穴を僕は覗いている、虫眼鏡を通して、雪の粒粒がそこらを走る。一歩一歩慎重に近づいて行ったのに、あたりはき しきしと弛みはじめ僕は一瞬の浮遊ののち、真空に入る。きみがきのう挨拶で言った言葉はなんだったか、「気分はどう?」、「なに色が好きなの?」、僕は「赤だ」と答えてきみの口元を目で追った。突きだされた心臓みたいな舌の先に銀色の砂糖玉が載っている、僕はそれを指先でそっとつまみ上げた。魚が一匹、 横を通り抜けた、小さな紫のひれが僕のまつげに触れる、透明なガーゼみたいな薬瓶の薄い青みたいな、この水の中だ。少しずつ再び割れ落ちる氷のガラスは、 きみの足踏みと同じ音を鳴らして僕はつぶった目の奥で今一度、色を柔らかい肉をすり切れた布の感触を思い出す。【雪の上にしたたる血】という写真をきみと見て、きみが「あれは赤いペンキみたいなやつだ」と言ったことを考える。赤いペンキみたいな血なのか、赤いペンキみたいな何かなのか、赤いペンキみたいな 気持ちがしたのか、赤いペンキみたいに熱いけれど哀しい作品だと言っていたのか。結局僕は様々なことが未知のまま道に投げだされていることを知る。街を歩いていて落ちている人々のように。いつの間にか置き忘れたたくさんの魂のことを考える。僕は今、緑の火の粉を散らす松明をかかげてきみのリボンを燃やしに行く。
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「ライク・ア・テレフォン・コール」
掴まえられること、ない世界、それは鏡のない世界。それは驚異の会場、一つのモデル、一つの構想。わたしはティーポットを持ち上げて、少しのあいだ空中でとどめておく。重さを感じる、にじみ出る熱さを感じる、指のうえに、燃えた赤く、赤い液体がカップに注がれる。そして、邂逅。婚姻のような、電話での呼び出しのような。白い磁器は今、シルクの暖かさに触れる。現実をかいま見てしまったような、見るべきでない現実、わたしは見るべきではなかった。
「君は食べてる?」
「ええ、わたしは食べてる。食べてる。実にとても食べている、そう」
「食べてる、どうして?」
「食べてる、なんであれ」
「何を食べてる?」
「食べてる、食べてる」
一つの夢が空をむさぼり食うように、チェリーののった、ルバーブののった、パイを、薄荷味のプリンを、彼女はむさぼり食う、母親と分離したあと。
「わたし、頭のなかにあるものを、こういう言葉を通じてあなたと共有しているのかしら」
「そうしようとは、してる」
「そうしようと? そう。わたしは人間か? おそらく」
「言語」
「夢をみた。駅の近くにあるショッピングモールにいたんだけど、地下階が洪水になった。階段のところから、急流が湧きでてくるのがみえた、とめどなく。でもわたしは動かなかった、そのままそこに突っ立ってた。でも濡れなかった。水はわたしのこと、避けて通った。次にわたしが覚えているのは、自分がキャンディ・ショップにいて、赤い半透明のガミー・ベアを口のなかに詰めこんでいる、というシーン。起きたとき、まだ口のなか、歯の上にべとべとした感じが残ってた。何がくっついてるのかと、口に指を突っ込んで確かめもした」
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「その次に電話が鳴るとき 」
わたしは水たまりのなかを歩きたい
自分の怒った顔を水面に映して
その哀しみを忘れないでいたい
ポケットのなかを探り
ガムの包み紙を取だして
わたしの名前を書きつける
わたしはそれをまた、ポケットに戻し
いつかあなたに渡したい
いつかあなたに遭ったとき
再びあなたと合ったとき
わたしは床のうえで走りたい
ワックスで磨きあげられた
あなたの心の表面をすべりたい
その喜びにうまく涙するように
あなたがわたしを観られるように
街角でも公園でも校庭の片隅でも
小さな竜巻が枯葉を踊らせる
わたしのことを忘れて欲しい
わたしのことを再び思いだせるように
一日で一年を感じたい
春も秋も夏も冬も果物のように
色とりどりでわたしを知って欲しい
支配されたい記憶されたい投げかけてください
あなたの失望をわたしは手のひらで触れる
指の一本一本をあなたの声に捧げる
恐ろしい夢も後悔も無念も苦悩も
スプーン一杯で受けとめたい
銀色が舌に触れる
その直前にあなたをわたしは受けいれる
蛇口をひねって未来をないがしろにしても
怖くないよと言ってくれる
あなたの髪の毛一本一本を
わたしの心に留める
ピンで磁石で釘の一打ちで
桔梗でも木蓮でも蓮のひとひらでもあなたを
音のように波のように頭痛のように
わたしのもとに引き寄せられるのなら
わたしは窓を開きたい
境界を超えて教会で祈り教界に震れるその日まで
カウチで無為に寝ころんだまま
口元には微かな酒の匂い煙の残香
人の去来を見続けたあなたの
白いシャツの小さな穴を
わたしは針で繕う糸で補う受話器を耳に据える
リノリウムの温度
壁と一緒の瞬間の恐怖を
あなたと分かちあいたい
廊下の暗さも毛先の丸みも目元の柔らかさも
すべて一色で包みこんでしまうほどの
暴力や怠惰
リネンのドレスが秋風に揺れる音
枕元に置かれた本が決して開かれなくても
わたしはいつもあなたを読む
言葉がすべてのあなたを映しだすまで
わたしは声一本も鳴らさずに
白壁に背をつけ美しい空を
なめらかに流れる鼻先を
黄色の受話器を
藍色のパーカーを
裸足の素足で床の暖かみを感じながら
わたしは川底を歩きたい
再びその顔がそこに浮かびあがるまで
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「土地をみる」
土地をみて 話しましょう
土地をみて 笑いましょう
土地のうえに 降るなみだ
じわりじわりと 溶けるでしょう
土地をみて 手をつなぐ
土地をみて さるぐつわ
土地のしたに 寄るみずは
ずるりずるりと 帆をたぐる
土地をみて 咲きましょう
土地をみて 枯れましょう
土地のなかに 湧くいのち
さらりさらりと 逝くでしょう
土地をみる
土地をみる
土地をみる 足のした
土地をみる 土地をみる
土地をみる 土地をみるなり
土地になる
(土地は、不毛では、決してない)
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「あいの抗議」
(あなた)
あなたがやったら
わたしはやめる
あなたがとったら
わたしはきれる
あなたがかったら
わたしはすねる
あなたがさらった
わたしのゆめの
いちばんコアの
だいじなぶぶん
あなたがさったら
わたしはもどる
あなたがけったら
わたしはひろう
わたしのそらの
とくべつレアな
たいせつなみち
あなたはとった
(わたし)
ゆめにもおもって
みなかった
きもちをもってる
ひとがいる
ココそこ近くに
至るとこ
りちぎなこうぎに
めをみはる
いっこつくれば
むねおどる
むごんこうぎに
いきつまる
(あなた)
いますぐ
やめて
でも
やめないで
つくりつづけて
でも
みせないで
えいきょうしないで
させないで
ホカのひとには
ほめられて
ココのきもちを
わすれさる
あなたがこわい
わたしがこわい
(わたし)
たのしいからいい
だいじょうぶだから
おもしろいからこれ
なんでもいける
(あなた)
あなたには
あるあるあるある
わたしには
ないないないない
あなたはぜんぜん
しないしないしない
わたしはいつも
してるしてるしてる
どうして
(わたし)
ソンなこといわれても
きっとこまる
わたしはわたしは
わたしはわたし
(あなた)
あなたはあなた
それがいや
(わたし)
わたしは
それでも
さりません
あなたがさっても
さりません
(あなた)
さる
わたしはさる
(わたしとあなた)
ほんとうは
すきすきすき
あっている
すきあってるのに
さけあっている
さけるときれつが
はいるから
さけいっぽんで
うまればいい
さけいっぽんで
ぬぐえばいい
(いつか)
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「グラヴィティ」
足下におかれたヒーター
がむかしの わたしの犬みたいで、
すこし泣きそうなる
彼はとても暖かい
どこにでもいる誰でもいいと思って
サラダバーで隣に並んでいる
ひとの腕に、素敵な筋が走っている
瞬間、自分がぴったりとその流れに
そって、川を下る森を抜ける
手のなかには木のえだ、塀だって
よじ登れるような
一枚の映画のシーンが切り取る
何にだって恋することができるの
かもしれない、 私たちは、
心が空っぽのときは、
レストランで食事をしている黒人の家族
今日は日曜日だから教会へいってきた
お父さんはチョコレート色のスーツで
お母さんは黒にバラの模様が散ったドレス
子供たちはそれぞれにアイロンの筋が
ぴっと入った清潔なようふく
スープのなかに沈んでいた赤茶の豆が
したの上でつぶれる
思い描いていたのとはまったく違う
現実のなかで手を握りしめる
「これが永遠だよ」
唇にあたるスプーンは冷たい
白く区切られたいつもの部屋のなかで
ソファに沈み込む 未だにわたしは
何枚かのフィルターを付け替えて
こういった戦いに挑む
自分がめくられるセッション
仮面のいろは質素な青色
張り付いた笑顔がよく見える頬が凍り付く
喉が渇く目尻が溶け出してしまう
なぜ?
晴れた気がするのは恥をかくのが
いやだから 治らない自分がこわい
大きなソファと小さなソファが
いつのまにか何万光年離れていく
こころのレールのうえ
言葉がカートを突き放す
遠くにわたしがみえる
「わすれないで」
と老女はいった「わたしたちはみんな星くずなのよ」
しがみついた惑星が手のなかで崩れ落ちてしまう
わたしはぴたりと止まる
今世紀最高の無重力のなか
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「プラスティックのコップに冷えたミルクを」
ぼくの首が痛むから、それはロケットのように宇宙を
抜けていく、意地のわるい目たちをうまくよけながら、春のよい
プラスチックのコップにミルクをそそいで窓をあける、きみの笑顔
のあたたかなくうき、ぼくはカウチに横になったまま、夢をみるあの春の
よい、きみが僕の首を痛めたとき、きみの抱擁。
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「迷いと自信」
顔を洗ったあと
クリームをつけてマッサージ
指でぺたぺたしていると
雨が顔に降り落ちるみたいに
自分の指が自分でないみたいに感じられた
わたしは興奮して
そのまま顔をたたき続けた
わたしのものではない、その指で
それでやっとわたしは、この指たち、といういち部分を含んだ自分の存在が、
好きだと思った。
6月の雨のように打ちつづけるその指たちを。
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「キッチン」
かちこちのキッチンにわたしとあなたは立つ
目と目を見詰め合って とたんにキスをして
物音ひとつたてないように
ゆっくり そっと また ゆっくり
白菜を きる
ほうれん草を あえる
おもわず手をにぎりあって またキスをして
大根を むく
じゃが芋を ふかす
もうとまらないというところまできたら
かちこちのキッチンのうえの
タイマーがじりじりなるから
エプロンをはずし 箸をそろえる
「いただきます」
△
△
△
△
△
△
“IN MY MOTHER’S WOMB”
The first punch she got from him was on her right arm, a little bit upper from her elbow. She was in the car, yelling at him for what he ate. Her name is Malice; it isn’t her real name but people call her that way. Nobody knows who named her, but everybody agrees on the connotation that the name has on her.
One time she told one of her friends that she used to eat her boyfriends. She started from their finger tips, relishing the crunchy texture of the hard coated nails of them, then felt the robust joints of each finger between her teeth…
In fact she still remembers the moment of making love to them, as clear as the mind of zen monks, dwelling in their nothingness. She misses the pain of her tongue when they clawed for last goodbyes. She saw a pure form of kindness in their eyes; they all came from a decent family with high social status, but they at once lacked of ambitions. Those who allow themselves to exist in this world only by showing pity to people under their strata. Their scream when she bit off their hands from wrists: “Mea maxima culpa!” Intelligence is already a sin, she thought.
In the back of her seat, after punching her right arm, he starts to contemplate on his unfortunate past.
His mother told him one day, that he was about to get killed while he was in her womb. “My darling baby boy, I want you to know how I protected you when your dad forced me to eat the pills to make you die.” She said she had to hide the pills in her upper jaw, holding them with her tongue until his dad believed that she swallowed them. “I felt my tongue was about to paralyze, and that is why I have this nasty lisp when I speak.” He thought about the protection that her mother has given him. The protection to let him keep float in her womb safely, without being dissolved into shapeless molecules. Then he came out from her with a shape of human baby, unwanted by his own dad, later neglected by his own mother. Once the mother and the baby were separated, there was no longer a protection nor satisfaction that the baby would receive from the mother.
He touches his face and then his neck, feeling the skin that protects him from merging into the air, keeps in one solid form as a young and healthy 23 year old man. Still there, he confirms. Spite is still there, in a car, feeling a slight embarrassment of punching a girl. He looks at her, she too is still there.
Malice sees her right arm; now she can feel the puffiness under her skin. It is as though some mysterious creature is trying to come out of her arm, breaking her skin, making a bloody scene in the starless night. She feels the heat of this nameless creature, and waits for it to come out in this senseless world.
Spite is now crying secretly, hiding his face between his knees that are tightly wrapped with his arms. He thinks of being dissolved into molecules in his mother’s womb. He thinks of the hidden stars in this darkest night; imagines the dazzling light that they create when they crush into the moon, breaking into million pieces up in the universe.
So Spite and Malice, they slowly draw themselves to each other, making themselves into one again, silently under the spotless car ceiling.
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“A CAT”
Her name was Chat, means “cat” in French. I don’t know if that was her real name or a nickname; one thing is sure, she didn’t let anybody call her by anything else. She laughed a lot. She burst into laughter everywhere. She laughed at my uncle’s dead fish jokes, she laughed at babies crying, she even laughed at a sight of terrible car accidents. I still remember, one Sunday afternoon on Fairfax, we saw the driver of the car being carried on a stretcher, man, he was covered by blood all over his face and body. She shivered a little first, then, she started to break up. It was hysterical; she had to fold her arms over her stomach, or she would fall down on the ground. She was laughing so hard. Her head was shaken up and down as she cracked up, and I saw her dark curly hair dancing in the air. That was quite a sight; I can still remember the scent of mimosa tangled in her hair, leaving a yellow trace as she moved her head. Bystanders gasped at the sight of her; then quickly turned their heads away from her, as though they had just witnessed a pure form of vice that they can ever encounter in their fugacious life.
But only I know, that after I pulled her into the alleyway, she puked. While she was pouring out of what people had imposed upon her, she shivered in aftershock. Dim light entered into the sordid alleyway. Smell of vomit, the undigested culpa of people. Quietly, I touched her hair. Yellow of mimosa buried in her black waves. Her name was Chat, and she was celestial.
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“THE BEER IS ALL ASLEEP”
Her voice is tight and her fever is high, she is frightened by the eyes floating on this train, she sighs, she feels the tickling sensation on her tongue, candy is melting between her teeth. Her youth is blocking her from going to work. The bridge is connecting three rivers all together, enticing old people who have lost there dreams to slip into the water in three ways: Yes, No, None. Most people slip their body into the mingled water of Yes and No; decision is still abandoned in their aged soul even at the last moments of their lives. Their dead bodies will be shared by the two kinds of sea creatures in each water, the little nibble of the flesh would surely bring shiver onto my pale skin. She catches the sight of my skin crawling when I spot a man going down to the Yes flow, with his masked dog in his arm, then reaching his left arm toward the No flow just to sprinkle some water onto the poor dog. Her tongue looks red now, the color of a strawberry candy that she has been playing in her mouth. 22nd Century, with the uninterested eyes of alienated breath of my people, I feel my train is buckling down for the first time in his fast forwarded life. 5 minutes later, I will see this red cargos of snake like trust rumbling down all the way to the None flow, the current is quite strong, so is her lips that are pressed onto me. My beer is all asleep in my pocket, pretty chilly baby sneezing in my ashtray, the stars are near. My thoughts are dark in the bright morning air.
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“TENDER IS THE NIGHT”
Because smells are all so important to me when I visit unknown places, places to places I hover, bringing entire air into my chests.
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She is there with a man of her dream. A dream, she has never seen before, a dream, she thought too much to dream about. She is holding hands with the man on the street. She likes to feel fingers. One by one, she feels the streak of these unknown bones that are clasped with her tiny souls. She hears the the noise of her heart when he crushes her left side of her skinny short soul. So she starts to feel the hardness of his finger tips, then bring one of them to her mouth and feel the crispy part of it. She closes her eyes. They are still walking down the street. They have nowhere to go. Nowhere but home. And home is not there. There is only this street to go down. Down the street, they keep walking while she keeps her eyes closed. She tells him that she can smell more of the city when she loses her sight. Temporally, she loses her sight, and that’s what she does whenever she is in cities yet to know. She fears of tripping; literary and metaphorically. She thinks about clouds that seem to be surrounding her brain, rapidly as she moves through the spaces. There is her brain, and there isn’t anything else. Her right hand that is connected to his left hand feels amputated from her body. Only the bloods of two keep exchanging one another. She imagines the flow of bloods, two rapid water streams crushing, and making a splashing sound inside of her brain. Or maybe, she thinks, it is just a pumping sound of her chest, maybe. She looks up to see him with her eyes closed. She cocks her head toward his face, imagining that it should be there. And it is there. She makes sure by touching his beautiful beard. For the moment, she has to let go her right hand apart from his left hand, because she is touching his beard with her right hand. She gets little scared at the moment of their separation, and just before feeling the prickles of his beard on her fingertips. The sky looks bright with the neon lights from the bars filled with young people. They are artists. They are his people. She smells the residual scent of cigarettes from the bar that they had drinks before they started to wander around the city. They had Cuba libre. When she drank the liquor, she remembered the time she’d spent in Cuba. A man of her dream, who had a gorgeous beard, and passions for revolution and love of literature, was sleeping there. She’d kissed the lips of the man. His lips felt so cold. His lips were made out of bronze. The sky was blue in Santa Clara, and his lips were made out of bronze. She touched the glass of Cuba libre with her lips. Again, the lips were cold. Cold lips in Cuba. Cold lips in the city she is in now. She says to him: “Take me anywhere. I am not scared. I can be blind and smell the city forever with you.” She feels that unknown bravery springs out from her heart. She knows she is steeped in the romance that city offers. Smell of cigarettes on his jacket and intoxicating scent that oozing out from her breath. Perfect, she thinks. She shows fancy footwork along with his guidance. Smiles are flashing from her face, time to time, as she feels his strong bones inside of her hand. She feels the pebbles on the road, and kicks them as if she is blowing kisses to the world below. People on the street are sipping beer from their glasses. They see her face, and notice her eyes are closed. From her softly closed eyes, they see the return of their dreams. Lights flicker on and off on her pale eyelids. They see their dreams. They close their eyes. They smell the city. Their city that they’ve never smelled before. The smell of cigarettes and intoxicating scent of their long forgotten romances. “Tender is the night.” She whispers, as she feels his lips onto hers.
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“AL DENTE”
Spaghetti hair, I used to tease her calling that way. Her thick pale curly hair. It wasn’t natural; she spent four hundred dollars to get her hair done. It was at a Japanese hair salon she found on Internet. I stopped her, of course. Don’t you think it is ridiculous to pay that amount of money to make your hair look like, well, like some kind of pasta? But she alleged that pastas are much better than evil-looking seaweed, which her natural hair looked like. Her rather plumpy face was originally covered with this devilish colored wisp of threads. She said that she must have cursed when she was born, that she had to put up with these thick bristly dark strings that furiously burst out from her pinkish sculp. I must admit, that even I thought it should have been a nasty trick of god or some sort.
Her skin was soft and moist as a newborn baby, gorgeously pinkish as cherry blossom petals. It was hard to believe – for anybody – that she had to grow these rebellious seaweeds by nature.
So here it came the spaghetti hair, striking blond, curls bouncing blissfully as she walked. Healthy, al-dente, I should add. Then after a couple of week later, she damped me. She damped me because I am not a right “source” that can go with her “pasta”. She told me right in the eye, that I am too soupy and blunt, and she likes rich and zesty guys like Arrabbiata. “You are kidding me.” I growled. Well, of course, right? But she replied in a condescending tone, “Eat me.” All I could do was kissing her spaghetti hair for the last time, and so we broke up. That all happened last summer, but it still hurts when I pass by some Italian bistro, you know. It hurts.
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“That bitch reminded me of you”
Smoking cigarettes in the summer night after messing with the cat is so great. The wind is blowing from South and rippling the waves like a furious porcupine in the dark. One puff and the second one comes into her eyes. She curses in a voice that I can hardly hear: “Fuck.” Or maybe something else in Japanese. It doesn’t matter. Everything sounds Japanese to me for these two months. Yesterday at the bank, a guy in front of me in the line was singing in a soft voice. I usually get annoyed by all these shameless assholes singing in public, but this time was different. He was singing in the tone that shakes your stone cold heart. He looked Asian or some shit, or I just don’t know. I figure he was Taiwanese. Real Taiwanese from Taiwan. But what I heard there was a pure Japanese coming straight from his mouth. As he sang in a whispering voice, the magic spell was drawn out. I was intoxicated. Intoxicated by his Japanese. His clear crispy Japanese pronunciation, coming out from his Taiwanese vocal chord. Why do I know that he wasn’t Japanese? Well, you underrate me too much. I know how Asian look and can tell the differences easily. All you have to do is to look at their nose. If it’s wider, they are kinds of Chinese; if it’s small, Japanese, most of the time. And if the wider nose ones are rather fashionable, they are Taiwanese. Quite easy, isn’t it? I am not a racist by the way. My great great grandmother was a daughter of a great chief of some indian tribe I never heard of. Well if you think about it, aren’t we all native of this soil, created from and molded out of this nasty clay? So the guy with this perfect Japanese. And the irritating long line in the bank. And my checking account recorded minus. And thus I was there in the line to discuss the over-due charges that they were about to impose on me. The empty bank account and the sound of Japanese. Really, this bitch reminds me of you. This bitch reminds me of you. I know this bitch reminds me of you. I gotta stop him. You, bitch, you remind me of her. This bitch. And she was the bitch. Make him stop singing. It couldn’t be right. The midday, the long line, the lazy ass bank workers with their stupidly expensive ties… The bitch reminds me of you. Stop!
“But hell, this is just so….”
Shit, I know you were just too good to me.
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“MERDE DE DIEU!”
When I punched the girl in my fantasy, I was giving her a sincere hug on the street. I dropped her off at her house and I wrapped my arms around her, said my last goodbyes. She was leaving for Paris in the next morning. She finished everything she should have done in the United States and finally she was going back to her home country. She hated America for its greed. She called Americans “Greasy and Greedy” with sympathy, and then she bit into her hamburger that was as big as her face. We laughed a lot together. We gossiped about everybody we know mutually. She was intelligent and I was brave. I remembered how her cheek dimpled when she sucked on the coke bottle under the sun. I saw her throat moving like a snake swallowing its game; sometimes rats, the others little birds. Her curly hair slapped the corner of my eye whenever she turned back, sensing some boys looking at her. They were literally knocked down by her beauty. She was the most celestial woman I have known, and even now after the tragedy, I proudly cast a ballot for her godly smile. I was not so much of a heterosexual woman nor I was a lesbian. I hated everybody but her, although I had hard time loving her.
One day we drove up to San Francisco; it wasn’t a planned trip. We were gulping down our iced coffee at Starbucks one Monday morning, exchanging our ideas about the mid term project that we were assigned in the art theory class. She knew a lot about post modern critics, for most of them were French. Her favorite intellectual of all was Barthes. I have no idea why she loved the man; he seems to be a pervert who trapped in the world of symbolism. The fact he was fascinated by my country was all the more annoying. He should have read Orientalism before he have visited my country. So we were talking about the creators’ absence in their artworks, burning our sensitive skin with seemingly harmless ultra violet in the early summer sky. One worker started to flirt with her, neglecting his table wiping job, and asked her if she wants to visit San Francisco with him. The boy had a pair of dead fish eye. Again her dark hair snapped my eyelid. She said she would like to visit the city and “in fact we are leaving for north now.” So we headed to the city, driving up 405 to the 5, already munching the french bread that soaked up the yummy fresh cram chowder by the night.
We are always reminded that once you love somebody, you could hate the person more than anybody in the universe; the god will allow you to do so, since he is the one who strives to hide his hatred upon us.
The trip was nonsensical. While I was driving on the Haight street, a cactus appeared from the corner all of sudden and stopped our car. It said it needed a ride home. My friend welcomed the cactus without my permission and we kept on traveling together. “I came from flagsaff,” the cactus told us, “and I visited bay to see my uncle Richard Brautigan.” I must say the cactus was delusional. It (or I should call it as she, since she has a red flower on her head) talked as if it was a kid from beat generation back then; it held a pipe between its teeth. I saw its tobacco-stained teeth. I coughed. I didn’t like Brautigan. I read one of his short story and I thought I liked Bukowski better. So I told the cactus that I liked Bukowski better than its uncle Richard. The cactus said, touching its flower time to time, that it has slept with Bukowski when it was living in West Hollywood. “He came and visited me once in a while. He used to call me Vera. Vera with the red flower. He was nice.” Then my friend became so fascinated by the cactus, and she violently yanked the red flower off from its head, then kicked the cactus off from our car. “Victory,” the cactus whisper while tumbling down the road, “is a deceitful thing.” My friend stuck the flower on her curly hair, and I must admit that it looked prettier than it was on the cactus’s spiky green head. We realized victory tasted so delicious at the moment.
So it was the night before she went back to Paris, I was hugging her on the street in front of her apartment, and I punched her face and nose and lips several times in my fantasy. Her vermillion blood erupted from the side of her lips, like nutritious milk from mother’s breasts. I became pale. My friend asked me if I was alright, and I answered no. Then we hugged again until my savage fantasy disappeared. We shook hands and kissed each others cheek, and I turned my ignition. Time to go home.
On the way home driving down the side street, I suddenly remembered she said she was smoking cigarette when she was in the middle school. And I thought that was a major reason I had a violent fantasy about her.
I thought I heard her whispering “Merde.” Then I swirled into the starless sky.
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“THE OWNERS”
I have not tasted you before; you were there when I was there too.
You were watching the buildings, and fascinated by the architectural beauty in the city, while I was cheating on my boyfriend in my dream. I have never owned my own man. I heard you calling my name on the street, it’s Tokyo, tonight. I was 19. It tastes all the same, my friends say, the boys, the men, the people, and the sins in your life! I can smell the burning skin, your left-side back, I brand my name with my lips onto you. I count the ears of you boys, men, people of my own! Like a cowboy, counting the number of his cattle; the pieces of ears, on the ground. I/he kneel(s) on the ground, ask(s) for forgiveness: “I control you, because I love you.”
I know, you were there.
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“BECAUSE I AM SO BLESSED”
Letters of my name start from a dot. I believe all of us is a tiny dot that is accidentally bored into this vasty ocean or the sky; we may peek through the holes of others time to time. Some could be icky as an old abandoned well; others would illuminate like stars stuck into the night. Each struggles, competes against others, we are desperate to expand our diameters as though the size really matters. We aspire to set up our own place on this universe where the limited seas and skies dwell within. It may cause you a pain, like you are drilling your skin with a sharp knife; It could be as sweet as opening a hole into your donuts dough. It is nonsensical, you would think. It is absurd, I might growl. Then, you suddenly realize, it is an epiphany, you begin to connect a dot to a dot to a dot to a dot. Someone and somebody begin to feel each other, hand to hand they agitate the others. Shaking hands, throwing words, a dot becomes a line, a line becomes a picture. We all fly up in the air, like a poor Laika dog in Sputnik 2. Out in the space we find a picture emerged out of the dots. Mysterious as Nazca’s line art yet heartbreakingly beautiful as constellations in the darkest sky. Letters of my name start from a dot. This is the bare bones of my artwork, if I ever to create a such thing.
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“GOD”
She is in trouble. Her neck is broken, so as her backpack.
She is waiting for the cat to come fetch her food.
In her backpack, there was a part of bone. That was her grandchild’s.
She is in trouble with her grandchild’s bone in a broken back pack.
She is still waiting.
It starts raining.
Her broken backpack is soaked, so is she.
The cat is still not showing up.
She thought about the day when she was with her grandchild.
The grandchild was her cat.
The cat used to feed her.
Then the cat is gone, and so she is soaked in the rain with her empty stomach.
She opens her broken backpack and takes out a bottle of white wine.
And she finds a cup in the bottom too.
White wine in a cup, and the rain is falling into the cup.
She drinks it slowly, and she waits for the cat with a bone inside of her backpack.
The backpack is broken, so is her neck.
Her neck is broken, so is her head.
God knows why, she thinks.
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“DUEL”
I tried to cut in half, a Cantaloupe, it’s as big as your head.
My knife is sharp, my mind is tense, I hear coyotes yawning.
I put my left hand on the over grown fruit of lust; slowly, my arm goes down
on its rumply skin, slight repelling force I feel, I hear a man calling my name
outside; I again, fail.
The lover comes home, and he finds a gorgeously ripe Cantaloup on the kitchen table, cut in faulty half. Its seeds are perfectly removed, and laying there with nonchalance.
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“EDIBLE SOULS”
You are eating my watermelons, cool and sliced the reddish
juice running down from your lips, your sticky fingers touch
my face first from my eyes then nose and the plump of my lips
you say you envision me in your brain you say my head is shaped
like an orange in the kitchen I bought yesterday; but you will
never know that my face becomes red as an apple when you touch it
because your eyes were poked out and instead two icy lychees
stare from the darkest holes of your soul.
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“LIKE A TELEPHONE CALL”
The world never been caught, it is a mirror-less world. It is a site of wonder, a model, a scheme. I pick up a tea pot and hold it in the air for a little while. Feel the weight, feel the heat trickling down, on my fingers, burnt red, red liquid poured into a cup. Then, the encounter. Like a marriage, a telephone call. White porcelain is now touched by a silken warmth. It was like a glimpse of the reality; shouldn’t be seen; I shouldn’t have seen.
“Are you eating?”
“Yes, I am eating. Eating. Very much eating, right.”
“Eating, why?”
“Eating, because.”
“Eating what?”
“Eating, eating.”
Like a dream devouring the sky, a pie with cherries, rhubarbs, a minty pudding, she devours, after the separation from her mother.
“Am I sharing what is in my mind with you through words like these?”
“At least you’re trying.”
“Am I trying? Yes. Am I a human? Maybe.”
“Languages.”
“I had a dream. I was at a mall near the station, and there was a flood in the basement. I saw the rushing water gushing out from the stairway, and wouldn’t stop. But I didn’t move, was standing still. I didn’t get wet; obviously, the water was avoiding me. The next scene I remember is that I was at a candy shop and stuffing my mouth with red translucent gummy bears. I could still feel the stickiness in my mouth, on my teeth when I woke up. I actually stuck my finger in my mouth to check what’s there.”
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“MY OWN PRIVATE”
See this apple on the asphalt ground, thousands of ants are crawling over, wriggling their tails as they munch the body of the fruit, taste the sweet/sour-ness on their dinky tongues; o my little children in the darkest colony, soiled with ketchup, or was it my blood like saliva? Sorry antsy ants, I know how you feel when you are all serving for something greater and getting back “home” with a bag full of trophies and now have your souls emptied, while I am just brushing my tangly hair with a 300-dollar Mason Pearson’s with dozy eyes and fake mustache drooping under my nose. “Our heartbeat sounds like castanets.” You guys told me so once, and is this how you see life, I just don’t know?
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“RED AND GREEN ARE THE COLORS OF THIS FIRE”
Your wide lips, are the torn red ribbons, can be tied anywhere the fluttering tattered pieces of cloth, dancing in circles before my eyes, tittups of scarlet high-heels approaching, of leather tapping on the white bleak floor. A hole in the middle of a frozen pond I’m peeking into, through a magnifying glass, grains of snow running away. Foot by foot I got up carefully; there makes a cracking noise, of a slackened ice plate I hover for a second then enter the vacuum. What was the words you said in greeting yesterday; “How do you feel?”, “What color do you like?”; I answered “red” and my eyes followed your mouth. A silver sugar ball placed on your tongue sticking out like a heart throbbing, I picked it up with my fingers. A fish goes through beside me; a tiny purple fin touches my eyelash; transparent gauzy, pill bottle like pale blue, in this water. A glass sheet of ice slowly falling down cracking, making the same tune of your stepping sound, in my closed eyes once again I remember the color the tender flesh the touch of the rags. I’d looked at a picture called 【Blood trickling on the snow】 with you, you’d said “That is what it’s like red paint”, I think of the words. Blood that is like the red paint; something that is like red paint or she felt like red paint or she thought the picture is hot and sad like red paint. I then realize many things are remained unknown, thrown on the road. Like the people dropped on the road, walking. I think about the number of souls left forgotten. I now carry a torch defusing green sparks and go close to you to burn your red stripes.
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“RURAL ACTION”
I know I’d cry because there they brought me a flower bouquet, bunch of dead flowers
Tied up in one sort of optimistic dream; amputated beauties that sting my nostrils with
Their added perfume. Did I tell you that I am sick of being treated like leaves on the ground?
Flickering sun light coming through my kitchen window, I signed my name on the paper that
Confirms my intention to give out my smiles if they need, torn off expressions of my filled/blank
Face would help all the souls neglected in the spaces far away. They push the faces of flowers
unto my chest, pollens cling onto my white dress, yellow stains that were followed by the legs of insects
Tiny lives within the forest of my dense malaise. Proceed, they cry out from the bottom of their empty
Guts, hugging me nervously as if I am the one who has lost. I pick up one of the flowers that were
Brought in my dream, the reddish petals and thick thorny stem. I imagine my fingers bleeding and
They would lick them one by one, and then I would press the stem onto their tongue. I smile. Flesh and
Blood mixed in a brilliant soul of the momentary truth, friendship forever is written on a music score, which
Will never be sung; my feeble voice would never reach the tone of joy that now they are expressing
In front of my drooping eyes. Who told them to bring me flowers? My earth is bounded by times and
Spaces, forest like places to be secluded and secured, I hear the leaves clustering above my head,
Eyes closed, and I will receive the final shine of the sun that they will throw into my blanks.
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“I DRINK MY WATER INSTEAD”
I love my T shirt that stuck in my fancy brain,
I would strip it of from my skin and leave it on my yard, then
you would come visit me with your pants up and down, your sweat
is dripping down from your forehead and the dog will lick it in a moment
of blink, my converse shoes shine in the water, take a bath, baby,
pocket full of babies we would bring into this world, so
we will cover them with my favorite T shirts; I love T shirts and babies and
making love on the grass in my yard.
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“JOY IN LEARNING”
Keep your palms open-
When you grow old, so the snow touches your skin
When I blow my small world.
Leave your eyes open-
As we follow the lane; leaves touch the ground
As we flow into our naked veins.
Save me when I am cold
In the ocean of finest molds
Relieve me as you kiss the sky
In the slight starlight of sliest smiles;
Teach me when you open, touch me
When you heave-
Rangers get their intaglio rings
When you leave them with pedalo wings
Here I lay my head on the earth
Abided, bounded by a refined soul
With membraned mirth, I hear my silent howl:
-Joy in learning,
Joy,
In
Learning.















































































